1話:霧野家の朝
ほのぼのしてます。
「あられにい、おきて!あさだよ!」
明るく元気な声が頭に響く。
目を開けると、小さな弟がのしかかっているのが微かに見えた。
「雪……兄ちゃん吐いちゃうからそこどいて……」
「だめ!おれがどいたらまたねちゃうでしょ!」
(ば、バレてる………)
「お、起きるから……起きるから眼鏡取って……」
「!はぁい!!」
(お、声が明るくなった…)
雪は僕と10歳も離れてる弟で、しっかりしているけど、
年相応に元気で無邪気な性格だ。
今年から小学生で、雪もかなり楽しそう。
「着替えてから行くから、先に行っててくれる?」
「分かったー!」
(うお……笑顔が眩しい………)
かくいう僕も今日から高校生で、結構浮かれてたりする。
「霰ー!入るぞー!」
「わ、言いながら入るなよ雹……」
雹は僕の双子の兄で、僕と同じ高校に入った。
活発で明るく、誰にでも気さくで友達が多い。
まぁ、偶にデリカシーが無いけど。
「お、制服似合ってんなァ!男前だぜ!」
「ありがと。雹も似合ってるよ」
僕らは双子だけど、性格も顔もあまり似ていない。
雪は雹に一番似てるけど………将来こうなっちゃうのかなぁ……
「氷姉さんまだ起きてないってさー」
「あー……僕が起こしに行くよ」
「ははっちびんなよー?」
「うるさい!」
氷姉さんは僕と3歳離れた姉で、
「氷姉さん?入るよ?」
今日から大学生……なんだけど、
「起きて姉さん。」
「んー……あられ君……?」
「うん。おはよう。」
「………チッ……ぶっ殺す………(訳:おはよう)」
(うわ……目付き悪い……気迫あるなぁ……)
……朝に弱くて寝起きが最悪。
普段は気丈で温厚な人なんだけど……
「つららちゃん達が今ご飯作ってるかr……」
「つららのご飯!!すぐ着替える!!」
「………うん。先行ってるね。」
なお、昨日中学生になった妹のつららちゃんのことを特に大切に思ってる。
氷姉さんの部屋を出て廊下を少し歩くと、生姜焼きの少し甘い香りが鼻を擽る。
「おはよう霜、つららちゃん」
「わ、あられ兄ちゃんだぁー!」
「おはよう霰君。……氷ちゃんは?」
「今着替えてるからもう少しで来ると思うy………」
「つららーっ!」
あっこれ突き飛ばされるやつだ、とすぐさま悟ったところでもう遅い。
「ウ"ッ」
「あっ……」
僕は背中を押され、前に倒れる形で顔を打った……と、思ったけど、
「おっとと。大丈夫?」
なんと、霜に支えてられていた。しかも軽々。
「あ、ありがとう霜……お前凄いね………」
霜は僕の6歳下の弟で、明るくて穏やか、頭も良くて筋力もある。
「兄ちゃんはヒョロいからねぇ!」
「力強く言うんじゃない!」
が、たまに笑顔でさらっと毒を吐いたり、とんでも無いことを言ったりする。
「ごめん!大丈夫だった?」
こっちが普段の氷姉さん。優しいんだ。寝起き以外は。
「霰君、大丈夫…?」
「大丈夫だよ氷姉さん、つららちゃん。霜が支えてくれたから。」
綺麗なストレートの頭を優しく撫でると、つららちゃんは少し嬉しそうに
頬を綻ばせた。冷静沈着だけど、妹らしく少しだけ甘えてくれるので、
兄としては嬉しい。……氷姉さんに羨望の目で見られるけど。
「おーい!早く食べようぜ!折角の美味い飯が冷めちまうぞ!」
「おなかすいたー!」
雹と雪がグイグイと席に着かせる。
「美味しそうだね~」
「おれ、つららねえのおりょうりだいすきー!」
「流石だな、つらら!」
「結構、自信作」
「俺も手伝ったんだよー!」
「ふふ、偉い偉い」
雪が生まれた一年後に交通事故で両親が他界してしまった以来、
兄弟と協力して生活している。僕ら兄弟はお互い大好きだし、仲もすごく良い。
本当に幸せだ。
(…………なのに、どうして?)
何 処 で 、 間 違 え た ?
血まみれになった兄弟を呆然と見ながら、只々(ただただ)"やり直し"を願った。




