【第20話:逃亡の果て】
逃亡生活数ヶ月。深い森に隠れた古びた小屋で、タルトはソウとささやかながらも穏やかな「自分だけの時間」を過ごしていた。しかし、背後に迫る一人の男。かつて狂気でタルトを縛り付けたアロウが、今、憑き物が落ちたような澄んだ瞳で、二人の前に立ちはだかる。
アロウ:(抜き身の剣を地面に突き立て、膝をつく。かつての傲慢さはなく、その声は震えている) 「……見つけた。タルト、君がいない数ヶ月、俺の肺は外気を取り込むことを拒否していた。呼吸の仕方を忘れるほど、俺の世界は止まっていたんだ。 俺はあの時 狂っていた。
だが、その狂気の底から見えたのは、不器用で、どうしようもないほど純粋な……君という光への渇望だった。 ソウ、その男から君を奪うのではない。俺が、君を愛するために、この命を君の足元に差し出しに来たんだ。」
ソウ:(タルトを背中に庇い、低く、しかし熱を帯びた声で応じる) 「遅すぎです。彼女の涙を拭い、泥だらけの足を洗い、孤独な夜に寄り添ってきたのは俺です。 タルトは誰の所有物でもない。俺の心臓は彼女の鼓動に合わせて動いている。 彼女を連れ去るというのなら、俺の胸を貫いてからにしろ。俺にとって、彼女を失うことは『死』よりも残酷な永遠の闇だ。」
【決闘の宣誓】
アロウ:(ソウの剣を真っ向から受け止め、至近距離で言い放つ) 「いいだろう、ソウ。言葉ではこの渇きは癒えない。……正式な決闘を申し込む。剣の神の前で、どちらがタルトの隣に立つ資格があるか、魂を削り合おうじゃないか」
ソウ:(瞳に静かな怒りと覚悟を宿し) 「受けて立とう。俺の命はとうに、彼女を守るための盾だ。決闘の日は三日後、夜明けの丘で。それまでは、彼女に指一本触れさせない」




