【第19話:月明かりの私室、光と影】
晩餐会を終え、自室に戻ったあなたは、あまりの屈辱と恐怖に膝を震わせ、肩をガクガクと波立たせていました。 重苦しい沈黙の中、彼の静かな声が、震えるあなたの背中に届きます。
ソウ:「……タルト様、……」
その声に弾かれたように振り向いたあなたの瞳からは、堪えていた涙が濁流となって溢れ出しました。 その涙を見た瞬間、ソウの瞳の奥で、何かが静かに、しかし決定的に壊れる音がしました。
タルト:「ソウせん‥‥せ・・・・い・・・・」
タルトは声にもならないような小さな声でソウをあの時のように「先生」と呼んだ
ソウは静かにそして何かを決意したかのようにタルトを見つめ
「……タルト様。私はこれまで、あなたを一番近くで見て参りました」
(影の中から響く声は、まるで彼自身の魂を削り取っているかのように重く、苦しげです)
「しかし、今回ばかりは……。タルト様が、ご自身を押し殺して過ごされることに納得されているなら、私はいつものように、無機質な盾として在ろうと思っていたのです。ですが……」
「……ですが、今、あなたは涙を流している。そんなあなたを前にして、もう私は…………」
【禁忌の1歩】
『カツリ、』
ソウ:「あぁ……タルト様。……私は、あなたを案じておりました。……幼き頃より涙を流すたびにあなたを案じておりました。」
と床が鳴り 闇の中で、衣擦れの音が聞こえます。その中から 影の中に消えていたソウの全身の輪郭が、月光を浴びてぼんやりと浮かび上がりました
『カツリ、』
ソウ:「あなたが攫われて傷ついたあの日……私は、この手であなたを守りたいのだと思いました」
月の光がソウの長い足と腰にささる重厚な剣を照らしています。
『カツリ、』
ソウ:「あなたはいつもキラキラした瞳をもっていた。その自由さが私には眩しくて美しくていつまでもあなたらしさを笑っていてほしいと願っていた。」
月光の影に隠れていたソウの大きな大きな胸板もはっきり照らし出されます。
『カツリ、』
ソウ:「そして……いつしか私は、その自由な未来のあなたを傍で、私自身が見つめていたいと願ってしまうようになった」
ソウの全身を月夜の光が包み その瞳にはタルトの姿が反射するように映り込んでいます。
『カツリ、』
「……もう、騎士ではいられません。私は…私は…あなたを愛しています。ですから――どうか…どうか‥・私と共に来てください」
ソウの武骨で大きな掌が、震えるタルトの背をしっかりと支えその胸板に彼女を力強く引き寄せた。
タルトは:「ソウ先生…私…私…。」とソウの胸の中で涙を流し続けた。




