7.囚人 ロスト
「ねーレヴ、隣空いてるよ、寝ないの?」
寝ない、寝れるわけないだろ
「ねーレヴ、ちょっとは返事してよ」
返事するわけないだろ、馬鹿
「ねーレヴ、煙草吸いたいんだけどさ、無いの?」
吸えるわけないだろ、監獄だぞ
「ねーレヴ、アイス食べたいんだけどさー」
「……」
ロストを牢獄に入れ、監視を始めて早数分、もう後悔している自分がいる。
「お前、自分の立場分かってるんだよな?」
「わかってるよ、で、いつ出れるの?」
……やっぱり、分かってないじゃないか
ウルムンガルド公国、王城地下、秘匿牢獄
あの後、ワイバーンに乗っているロストを落とし、軍に引き渡した。
で、私はロストが逃げないように監視としてついて行き、連れられたのがこの牢獄なわけだが……
なんで、まだ私はコイツの面倒を見ているんだ?
「にしても、この牢獄質が悪いよね、ベットくらいあるのが普通じゃない?」
「でも意外と楽しいね、レヴがいるからかな」
私は楽しくないけどな。
「一回スプーンで掘って脱獄するやつやってみたかったんだよな、前回は途中でバレちゃってさ、今回は途中でバレないといいんだけど」
おい、掘るな、スプーンはどっから持ってきたんだ、というか私は監視役だぞ、途中じゃなくてもうバレてるぞ
「パズルって意外と面白いよね」
作るな、だからどっから持ってきたんだ、そのパズル、というかなんか人?おい待て、それ私の全身のパズルだな
「待って、レヴ、後1ピース足りないんだけど、ねぇ」
……私は知らない、そこらへんに落ちてるんじゃないか?
「レヴ、そっちじゃないよ、うん、それはジョーカーだから、ねぇ、ねぇ!待って、僕は離さないよ、なんでかって言うと、レヴに負けて欲しくないから―――」
力で私に勝てるわけがないだろう、頭でも勝てないみたいだが……
「あのね、このゲームは角を取ればいいんだよ、レヴは知らないみたいだけどね……あれ?置ける場所が……無い……」
そんな単純なゲームじゃないんだぞ、このゲームは
「クソ、待てよ、このままじゃ僕のお金が……」
もう無駄だ、諦めろ、ここからの勝ち目はな―――
「……何してるんですか、姐さん」
聞き覚えのある声が聞こえる、そしてその声が聞こえる方に振り返る。
「あ、レヴの部下の人じゃん、久しぶり」
「部下の人……まぁそうっすけど」
蜥蜴の様な人、人の様な蜥蜴と言った方が良いか
彼は爬虫人、レヴの部下だ、名前は知らない、忘れた
「姐さん何してんすか、監視の為にいるって言ってましたよね」
彼は仕事をほっぽり出して、遊んでいるレヴに対して呆れた目線を向ける。
「そ、そうだが?これは仕事だ」
「酒飲みながらゲームまでして、仕事って面白い冗談だね」
「お前のせいだろうが」
「いやいや、僕は誘っただけだよ」
僕は誘っただけだ、誘いに乗ったのはレヴだ。
僕は楽しかったからいいけど
「それはそうっすよ、監視なんだから断らないと」
「……」
怒られているレヴ、なかなか新鮮だな、少し恥ずかしそうにしているのも珍しい
「はぁとりあえず没収っすね、後、ロストさんも誘わないでください、うちの団長はロストさんに誘われると断れないんすから」
「はいはい、分かったよ」
「というか、どっから持ってきたんすか、こんなもの」
パズル、トランプ、オセロ、他にもいくつかのゲームを彼は一つずつ確認して没収する。
「まぁまぁそれは良いじゃないか、でさ、麻雀しない?」
そう言いながら、僕は麻雀台を組み立てる。
「だからどっから持ってきたんすか、この台は、しかも何で全自動なんすか」
「いや流石に麻雀は二人じゃできないじゃん?でももう一人来たからいけるなって」
そう、彼が来たから麻雀ができる
それに、僕は知っている、確か、彼は……
「そういう事じゃないんすけど……まぁ……」
「やりましょうか」
麻雀が好きだという事を、来た、引っかかった、連れたぞ魚が
このまま、有耶無耶にしてやろうじゃないか
これで共犯にしてしまえば、没収も無しだ
「まーじゃん?なんだ、それは」
「そっか、レヴはやった事ないよね、僕もあんまりなんだけど」
「大丈夫っすよ、この台、魔術麻雀なんで」
「え、なにそれ」
魔術麻雀?普通の麻雀台じゃなかったのか?これ
「知らないんすか?魔術麻雀、訳して魔雀っすよ」
え、これ、そんなやつだったの、確かに買った時
なんかごちゃごちゃ言ってた気がするけど……
「まぁやってたら分かるっすよ、とりあえずやりましょう」
「いや、待って、まず最初に掛け金を決めよう」
「さっきもそうでしたけど、賭博までしてんすか、一応犯罪っすよ?」
少しのルール会議を終え、掛け金は一人1万G 、勝った一位が総取りという事で決まった。
牢獄の中で『魔術麻雀』開幕である。
弧宵です、普通に投稿時間を間違えましたが5月5日分という事でよろしくお願いします。
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