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24.神器 ケラウノス

『神器』


それは、限られた者にしか与えられない、神々からの贈り物(ギフト)


条件は分からない、ただ、それを持っている者と持っていない者では


本当に、言葉では言い表せないくらいの差があると言っていいだろう


「綺麗になれ」


持ってるのかよ、神器……


超高速で自身を襲う雷を、ほぼ予測に近い形で避ける。


そうじゃないと、間に合わないからだ。


「天鏡・連星」


「■」


それと同時に、ミラの鏡から連続ビームと大魔獣の拳を避けなければいけないのはどういう拷問なのだろうか


まぁ、別にミラのビームは避けれる、雷よりは怖くない


だが、このミラという人間は真面目で実直なため、一生回避のルートを制限するように撃ってくる。


自分でどうにかしようとか言う気持ちは一切無い、淡々とまるで機械のように


そして……


「■」


そのビームと雷の間をぬるっと突いてくるのがこの拳


そもそもなんで連携できてるんだ、初対面、というかさっきまで敵だっただろ


てか、これができるなら大魔獣倒せるだろ、女王とミラ!


僕は耐久があまり強くない


こういう多対一の物量対決は苦手なんだ。


……取りあえず、このビームだな


Nepo(ネロ)


「ッ」


ポイっと放つは拳ほどの大きさの黒い水球


「これの怖さ、君は良く知っているでしょ?」


ミラがその水球を避ける。すると、一瞬ビームが止まる、その隙に――


「氷の城壁」


ミラに近づこうとした、その瞬間、行く先に氷の壁が現れる。


「舐めるな!我がユグドラの――」


「ぐべら」


すぐに氷を剣で刺すように砕いて、その先にいたエルフ男の顔を踏みつける、そして、それを踏み台にしてさらに加速すると、ミラの頭上に飛び立つ。


「疾風」


「迅雷」


右から風を纏ったエルフ、左から雷を纏ったエルフが、どちらも剣を突き立てる。


だが、僕は空中に黒い地面を作ると着地し、飛び避ける。


そして、二人の頭を持って、衝突させると、一つになった塊を女王にぶん投げる。


「チッ、汚い」


女王は反射的にその塊に雷を放つ、これで雷の心配は数秒必要ない


「ねぇ、ミラ、接近戦苦手でしょ」


そう言いながら、僕はミラの首に足を巻き付ける


大体、こういうビーム連射タイプは接近戦が弱いに決まっている。


「まぁそうですね、ですがこういう時の為に対策をしております」


ミラがそう言うと、僕の下にいたミラがゆらりと消える。


「天鏡・伴星」


「■」


そして、足場を失う、落下する僕の元にビームが届く、それは空中で体勢を崩しながらなんとか斬ってどうにかする。


続く、後方からの大魔獣の攻撃は仕方なく背中で受け止めた後、振り返り剣を振るう


うーん、何だろう、急に消えたな、というか元から本物では無かったのか


鏡を使ってテレポートをしているような様子では無かった、移動したというよりそれその物が無くなったという表現の方が正しい


新しく現れたミラの方を見る。


ミラの能力は、恐らく鏡を起点とした物だ。


鏡テレポート、鏡ビーム、そして今の偽物を生み出す能力?


の三つ


鏡を出せる範囲は不明、ただ、今思えば世界樹の頂上に来たのも鏡テレポートなんだろう、つまり、かなりの広い範囲に鏡を出せるということ。


早めに潰したいところだが、偽物とテレポが邪魔だ


……ミラってただの本好き馬鹿じゃなかったんだな


「天鏡・連星」


「氷槍」


「射薔薇」


ミラビームで視界と行動範囲を遮ったところに呼んでくる


無数の氷の槍と、無数の薔薇の花。


Floga(フローガ)


それに対し、炎の壁を展開し、焼き払う。


だが、いくつか燃やしきれなかった薔薇が地面に落ちると、根を張り成長し、妙な匂いがしたかと思えば、蔓を伸ばし、僕を拘束しようと襲う


Floga(フローガ)


二度目の炎の展開で成長した薔薇を全て焼き尽くす。


他の名前を知らない人達もなかなかに邪魔だ、対応するのが面倒すぎる。


「天鏡・連星」


「■」


「綺麗になれ」


で、いつも通りのこれだよ、飽きないのかな


ミラと大魔獣と女王


……大魔獣?


何かがおかしい、さっきの氷エルフ、薔薇エルフとの戦闘時、何故、大魔獣は入ってこなかったんだ?


女王はわかるクールタイムだ。


それに、何故、今、他のエルフは攻撃をしない……?


もちろん、大魔獣の攻撃の主体は近接、つまり味方からのフレンドリーファイアを恐れる動きを取るのはわかる。


だが、ミラ、女王の時は積極的に攻撃に参加してきた。


これが熟練のコンビネーション、連携の上の物ならば理解できるが、そうではない


ここからは正直、感覚の話になる。


大魔獣はそれほど強くなかった。


神器持ちの女王やミラが僕に戦いを任せるほど、勇者が封印という手段を取るほどの魔獣とは思えなかった。


そして、大魔獣の不自然な動き……


もしや……


Nepo(ネロ)


黒い水球が現れる。


Nema(ネーマ)


黒い水球が黒い糸になり、そして大魔獣の体に絡みつく


そして、糸を引っ張り、僕の側に引き寄せる。


そうして、大魔獣を盾のように隠れると、そして……


見下す球体(ヴァリティータ)


僕がそう言うと、大魔獣の《《後方》》に白い球体が現れる。


そう、見下ろすのは大魔獣と地面ではない。


大魔獣とミラである。


重力に押しつぶされ、自動的にミラの方に吹っ飛んでいく大魔獣


「チッ、綺麗になれ」


飛んで行った大魔獣は、ミラに辿り着く前に雷で始末される。


「よし、これで一人、そして……」


僕は雷に焼かれ、黒焦げになった大魔獣を盾にして、後ろから現れると


「ミラ、君、本体だよね」


Neponema(ネロネーマ)


生み出された黒い水の糸でミラを封じ、首元に剣を突き立てる。


「おい、なんか攻撃してきたら、ミラを殺すぞ!」


「……綺麗になれ」


でしょうね


ミラに直撃する雷、僕は静かに身をかがみミラを盾にするようにした後、駆ける。


来る場所が分かれば、避けやすいんだな。


そして、大魔獣ミラは動けない、雷はクールタイム、そして、他のエルフも……


見下す球体(ヴァリティータ)


空中に現れる白い球体が、広範囲に強い重力をばら撒く、女王以外のエルフは全員動けなくなる。


そして、もう遮るものは何もなくなった。


女王の首元にロストワンダーの剣が届く――


その寸前、一瞬の話だった。


ここで、ロストワンダーが勘違いしている二つの事について解説しよう


彼は大魔獣の何らかの能力によって、ミラの大魔獣に対する攻撃が無効化されていると思っている。


だが、これは大魔獣の能力ではない。


ミラの魔術の性質である。


というか、そもそもミラの天鏡から放たれる光線に本来攻撃要素は《《無い》》


正確に言えば、そこに質量という名の攻撃性を持たせるか、持たせないかを操作する事ができる。


つまり、ロストワンダーが先ほど、慌ただしく回避していた光線、天鏡・連星は全て攻撃性はなく、ただのめくらましのようなものだったのである。


質量を持っていたのは、初撃の伴星のみである。


これは単純に魔力を節約するためでもあり、大魔獣との連携を取りやすくするための策である。


そのミラの策略がロストワンダーの思考を濁らせた。


大魔獣が見下す球体でミラに向かって吹き飛ばされた時、ロストワンダーはミラの伴星ではなく雷で始末したことについて、ミラの伴星を大魔獣が無効化しているからという結論を出した。


だが、ミラの伴星は質量を持たせれば、大魔獣にも攻撃することができる。


つまり、ミラの質量を持った伴星ではなく、雷で始末したのには別の理由がある。


それは、ミラの伴星では発動にラグがあり、雷より速度が遅く、間に合わなかったためである。


間に合わなかったとはどういう意味か、それは発動させたくなかったから


この時、この瞬間の為に――


さて、二つ目の勘違いの話をしよう


神器『雷霆の万雷(ケラウノス)』に隠された。


いや、固有の能力の話を


「万雷は埃すら残さない」


鉄壁の領域、女王に近づく事は決してできない。


その領域に埃一つでも、一ミリの異物が入りこんだ時


雷が落ちるから――


女王の首元に剣が届く前に


無数の雷がロストワンダーを穿った。

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