22.放火魔 ロスト
あーなんか、暇だなぁ
追い出された僕は枕一つ抱えて、とぼとぼ廊下を歩く
にしても、この世界樹の中すごいよなぁ、誰がくり抜いたんだろう
てかデカイよな、こんなデカいんだ、世界樹って
どこまでも続く廊下を歩きながら、そんなことを考える。
ぼーっと、歩いていると、ふとあることを思いつく
……世界樹って燃えるのかな、燃やしてみようかな
まぁ流石に駄目か、でもちょっと気になるよな
普通の一般的な火でも燃えるのか、それとも、魔術とかの色々工夫が施された火じゃないと燃えないのか
それとも、どんな炎でも燃えないのか
うーむ、気になる、でも流石に普通の火では燃えないか、世界樹だもんな
まぁこれは今度、試そう、世界樹の素材を手に入れたし、でもなんかこうして根を張り生きている世界樹と、素材として切り離された世界樹は違う気がするんだよな。
いつか試せるといいな。
コンコンと壁を叩いてみる。やはり硬く普通の木とは違うようだ。
ほんと世界樹の中に住むなんて、とんでもないこと考えたもんだよなぁ
それに、よくこんなに綺麗に作れたものだ。
世界樹とかの魔力大樹系は中央に行くほど魔力が強まる、魔力が強まるということは加工がしづらくなるという事。
つまり、この世界樹の中央の辺りを加工した職人はかなりの凄腕だということである。
ちらりと窓をみる。こういう窓も取り付けるのに普通かなりの苦労が必要だと思う。
窓を覗くと、綺麗に外が見え、外は庭園のようになっているのが見える。
外の庭?も綺麗だ、よく整えられている
あれ?あの人は庭師かな?おじいちゃんが麦わら帽被って……刀?で整備をしてる。
凄いなぁ、ああいう仕事できるの、僕だったら三秒で飽きるよ
……なんで刀なんだろう、こういうのってハサミじゃないのか
「■」
何処からか、そんな声が聞こえると、遠くから飛んできたであろう大魔獣の拳でおじいちゃんが吹っ飛ばされる。
あ、そういえば、僕が支配された時、魔術解けちゃったな
そもそも、あの魔術喰らって死んでなかったんだ。
すご、まぁ意外と強かったもんな
おじいちゃん大丈夫かな……
……まぁいいか、なんとかするでしょ
ほらミラが追いかけてきてるし、あ、あれ、この前吹き飛ばされた副団長?だ。
あ、また吹き飛ばされた。
「天鏡」
おお、なんかめっちゃでっかい鏡出た、お、ビームだ、すご
まぁ僕は関係ないし、離れとこう
……というか、もしかしてこのゴタゴタの隙だったら世界樹は燃えるのかチャレンジできるかな
よし、やってみよう、まず普通の火はどうせ燃えないから、魔術の火を……
「Floga」
僕がそう言うと、手のひらの上に小さい火の球が現れる。
まぁ端っこだけ、ほんの少し端っこだけだったら大丈夫でしょ
そして、それを世界樹に近づける。
すると、バチッという音と共に弾かれる感覚を味わう
あーなるほど、結界が強いのか、こりゃ無理だ。
明確に害を与えるであろう行動を制限する結界が張られている。
でも、もう少し頑張ってら行けそうだな。
残った火球に魔力を足して、火力を強める、そして……
「あ、やべ」
僕は静かに立ち上がる。
茫々と燃えさかる炎を背に
やばー意外と燃やしすぎちゃったな、世界樹の魔力のせいもあるのか思ったよりやばい
ちらりと振り返る、炎はまだまだ燃え盛る。
おいおい、これ消せないぞ、結界が抵抗してるおかげか広がりは遅いけど……
もう手が付けられないくらい魔力を吸収している……
僕は諦めて、窓から外を見る。
あー綺麗だな、この庭、もう燃えて消えちゃうかもしれないけど
すると、その先には大魔獣とミラがいて、何故か二人共立ち止まっているのが見える。
ん?なんか話してる?聞こえないけど……
あれ、こっち向いたな、二人?とも
「■」
「天鏡・伴星」
え?
待っ―――
極大のビームと、大魔獣の拳がロストワンダーを襲う
「天鏡・連星」
周囲に展開される五つの鏡から、一斉にビームが放たれる。
それを何とかして、剣で斬ると、落ち着く暇もなく
「■」
拳が飛んでくる。
忙しないなぁ、というかなんで急に、心当たりがないんだけど……
ちらりと燃え盛る炎を見る。
結構あるな……
「白雲流・一閃」
え?
ちょうど、隣を駆けるように何かが通り過ぎ、斬撃だけを残していく
その影響で、腕から少量の血が垂れる。
ついでに、燃え盛っていた炎も消える。
「薄皮一枚、か」
そう言いながら、老齢の男が木でできた鞘に刀をしまう
おじいちゃん?おじいちゃんじゃん、さっきふっ飛ばされてた庭師の……
え、てか炎消えたじゃん、あつ!もう熱くはないんだけどさ
よし、心当たりはなくなった!お前らの方が悪い!
ミラ、大魔獣、庭師のおじいちゃんの三人が僕を取り囲み、間合いを測るようにじりじりと近づく
でも……ちょっと、これはまぁまぁ、いやかなりまずいかもしれない……
ピポパポピ
「天鏡・大連星」
「『【■】』」
「白雲流・奥義・游雲驚竜」
遠く離れた空の上より出でる光線、それを反射して放たれる全方位、逃げ道のない星の導き。
その起源は、少しの時空の歪み、それが生み出す揺れる捻れる拳は、実体よりも大きく見える、いや、大きく存在している。
白雲流の開祖は言った、絶え間なく続く、雲のように揺れながら、一切の迷い無しに、竜のように生き生きと力強く、天を舞え、と
「もしもし、レヴ?」
ロストワンダーは言った、結局強い人には強い人を当てればいい、と、その起源は、少し前に起きた大災害、最悪の台所、遠く離れた街より出でる、龍の代理人
「お前、殺すぞ」
その咆哮は、緩やかに、そして当然の如く
ロストワンダーへと向かった。
どうも、孤宵です
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