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15.脱獄者 ロスト

例えば、そう例えばの話をしよう。


大きな岩があったとする。


本当に大きな、山と言っていいくらいの岩


ああ、もう山にしようか


大きな山があったとする。


その大きな山の頂上に登って、頂上からスコップで山を下に掘り始めても、外から見たらバレないじゃない。


中にどれだけ空洞が作られようが、バレないよね?


これはそういう話だ。例える意味あったかな、これ


そんな事を考えながら、僕は世界樹を頂上から少しずつ、掘っている。


ああ、わかるよ、わかる、世界樹の中に女王の部屋?があったじゃないかってね。


大丈夫、うまい具合に調節するから、僕の計算だと、あの天井の高さとこの世界樹の高さを見るに相当余裕があるはずだ。


「うーん、この剣じゃ切りづらいなぁ」


硬い、まぁ柔らかかったら素材として悪いからいいんだけど、切りづらいのはちょっとなぁ


これ、結構、いい剣なはずなんだけど……


「まぁコツコツやりますか」


本読みの生態を熟知している僕に心配の二文字は頭になかった。


どうせ今頃、積読している本からどれを持っていこうと悩み、まず時間がかかり、参考のためについつい開いてしまった本を読み始めて、気がついたら次の本、次の本と、ちょっとの味見のつもりが家で本を読むのに夢中になっているはずだ。


「なんか、あれだな、スプーンで穴を掘って脱獄するやつ、あの気分だ」


意外と楽しい、少し時間が経って、穴から出て、掘った穴を上から見下ろしてみるのも、達成感を感じて楽しい。


そんなこんなで、夢中になって掘り進めた。


少し経っても、依然変わらずミラは帰ってこない、これは、予想が的中したようだ。


「ん?なんかここ硬いな……」


掘っていると、何かやけに硬い場所に当たった、木ってそんな場所によって硬さとか変わるのかな


うーん、ああ、魔力が強いんだ、なぜかここだけ


なんかよく見ると、色も違うような……


というか木じゃないな、石?


魔石の類いかな、でも魔石っぽくもないんだよな〜


とりあえず他の場所と同じように剣で少しずつ掘ってみる。


やっぱ、硬いな、魔力を足すか


剣に込める魔力の量を増やしてみる。


すると……


あ、なんか爆発した。


おお、この爆発で結構掘れたぞ、小さい空間くらいになった。


何だったのかはわからないけど、ありがとう。


ちょうどいいし、これ以上、下に行くのはやめてここからは横に広げていくか


そうして、僕は偶然できた空間を広げることにした。


しばらくして、とうとう一人暮らしくらいはできそうなくらいの大きさの空間ができた。


「素材のために掘っていたんだけど……」


意外と居心地がいい、これは世界樹の効果だろうか


……もうここに、家でも作ってみるか


そう決めた僕は、少し荒くなっていた壁を丁寧に整えると、掘るのはここまでと決め、今までの作業で手に入れた世界樹の木材を使って家具を作ることにした。


「まずはベットかな」


大体ベットくらいの大きさの木材を取り出すと、上手く、剣で削ったりして成形してベットのフレームを作り出す。


結構時間はかかったが、なかなかいい出来なのではないだろうか


さて、後は……


「……あ、マットレスどうしよう」


当たり前だが、マットレスを作る材料なんてないわけで、買おうにも当たり前にお金はなく……


「と、とりあえず、別の家具を作ろう!」


そんなこんなで紆余曲折ありながら……


何ということでしょう


空っぽだった空間は、様々な家具で彩られる素敵な空間に早変わり、中央にぶら下げられるお洒落なランタン、今は本はないけど本棚、落ち着いた印象の木のテーブルとゆらゆら揺れるロッキングチェア


ベットはないですが、それ以外は完璧


世界樹の頂上から梯子で下って入るというのも秘密基地感というか、普通に秘密にしなきゃいけない基地でかっこいい!


うん、結構いい家ができた。


ベットはないけど


「はぁ、疲れた……」


なかなか楽しかったけど、疲れたな


というか、どれくらいの時間が経ったんだろう、まだミラは帰ってきてないみたいだけど……


まぁいいか、眠いしちょっとだけ寝よう、ミラが帰ってくる前に起きればいい、ベットはないと言っても極楽鳥の毛布があれば、それで十分だ……


そうして、僕は眠ることにした。


で、起きた時、なんとなく見覚えのある光景があった。


少し前の朝、見たことがある光景が目の前に広がっていた。


……つまり、僕はやらかしたということだ


さて、どうやって彼女に言い訳しようか


そんな事を考えながら、僕は2回目の睡眠を始めた――

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