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14.偽者 ロスト

わくわく、ドキドキ、極楽鳥探し〜〜!!


「うわーすごいな、この樹」


僕は今、樹の上にいる。


木ではない樹だ。


エルフの国で一番高い樹


そう世界樹の上にいる。


何故か?それは、高いところから見れば極楽鳥見つかるんじゃね作戦をするためだ。


多分エルフの国のどこかにいるんだろうけど……


全然いないな、はぁ生きてる状態でも触ってみたかったのに


「二匹いたら飼育して見ても良いしな」


まぁ二匹いたとしても雌雄のペアである可能性は低いか……


にしても、この世界樹凄いな、すごく魔力を感じる


魔道具作りに使えそうな、そういえば世界樹の枝って何か作る時に使った気がする


なんだっけ、ああ、あれだ学園のグループで大規模な魔道具作りをした時に


確か、簡易折り畳み式別荘を作ろうとした話だったかな


外敵が入ってこない為の結界、聖域を作るために使ったんだ


ああ、エルフの国にかけられているっていう魔術、世界樹を元にした結界、聖域を少しアレンジした感じで作られてるのかな


つまり、この世界樹が無くなったら、やばいって事か


・


・


・


……切り落としたりしたらまずいかな。


枝でさえ、結構いい素材になったんだ、全体があればすごい事になる気がする


何作ろうかな、家作っても良いな、結界系の素材って結構使い勝手がいいんだよな


単純な物の保存にも使えるし、世界樹は聖域だから、畑とかに埋めたら豊穣の効果が狙える。


確かに、農場でも作ろうかな、育てるのは他の人にぶん投げて、収穫だけしたい


農家の人にこんなこと言ったらぶん殴られそうだけど


「はぁはぁ、ここにいましたか、ロストさん」


「あれ、どしたの、こんなところに」


声がした方に振り向くと、ミラがいた。


どうしたんだろう、なんか焦った様子で、というかどうやってここに来たんだ?


「どうしたじゃないですよ、まさか世界樹の上とは」


「いやーすごいよね、この世界樹」


「まぁ神代の遺物ですからね、で、どういうつもりですか?」


「どういうつもり?ああ、ちょっと暇だったから極楽鳥探しに」


「いいわけないでしょう、婚約の宴の最中ですよ?」


「だって、駄目って言われてないし」


「はぁ、じゃあ今言います、駄目です」


「えー」


「えーじゃないです、普通に考えたら駄目でしょ」


「じゃあこっから大体何分くらい拘束されるの?」


「何分……?いえ、恐らく今日一日は、それどころか、明日明後日もですよ」


「え?」


「そりゃあそうでしょう、女王の結婚ですよ、一大事ですよ、この宴は三日三晩続きます」


「えーいや無理だよ、なんで?」


「なんでというかですね」


「あ、そうだ」


「なんですか?」


「分身だよ、分身」


「分身?」


そう言って、彼は何処からかぽたりと黒い雫を垂らす。


すると、その黒い液体は静かに蠢き、気がついたときにはそれが立ち上がった。




※




「……バレてませんね」


「でしょ?僕のとっておきだよ」


とっておき……なるほど、そう言われても違和感がないくらい、それはとても上手くできていた。


世界樹の上から静かにそれを見つめる。


本当に、人間と違いない、それも隣にいるはずのロスト・ワンダーと全くもって瓜二つなのだから怖い


魔術、なのだろうか、だが、魔術と言うにはあまりにも理解のできない現象だった。


「よくね、学園時代にサボるときとかに使うんだ」


そう気軽に使っていいものなのか?という疑問は恐らく彼にとってあまりにも笑える問いなのだろう。


現にこうして、軽く使っているのだから


「で、じゃあ僕は寝ようかな、ここにいるとなんか眠くなるんだよね、極楽鳥の毛布もあるし」


「え、いや……まぁ、いい、のか?」


正直言って、あそこにいるロスト……わかりにくいな、ロスト2がロストの役をしている以上、彼がいる必要性はない


ロストは女王様に惚れている、この事実がある以上、彼の様な離反、裏切りの心配はないし、これ以上の媚売り、ハニートラップの必要性もない


それに見破られることもまぁないだろう、女王も気づいていないし、作られている所をみた私でもロスト2が本物でしたと言われても納得できるくらいの精度だ。


いや、ただ女王様には報告した方がいいか?


いや、そうだな、分身の驚きで忘れていたが、女王様に報告を―――


「ミラも、ちょうどいいから少し休んだら、本でも読んでさ」


!


休み、本……


本……本……本……


騎士団長に休みは基本ない、何故ならば女王の護衛という大きな役目があるからだ。


年中無休ずっと、女王のそばに仕え、離れる時も今回のロストワンダー追跡の任のように気の抜けない仕事ばかり


買って読めずに積読していた本が大量にある。


仕事に追われる中、何とか自宅に帰って、軽い食事をし、寝る前に、視界の端に映る大量の本


一冊だけでもと思い、読み始めても疲れと眠気で身が入らず諦める日が何回あったことか


三日間、果たして何冊読めるのだろうか……


いや、でも駄目だ、女王様の護衛が……いや、今は傍にロスト2がいる、彼は自我をもって行動し、命令さえしておけば周りの人を守ることも可能でかなり強いそうだ。


問題はない……


・


・


・


……これは監視だ、ロストワンダーの監視、ああ、これは女王様の為なのだ、必要な大事な任務だ。


よし、どの本を読もうかな


一番昔に買ったのは何だっただろうか


そんな事を考えながら、彼女は自分の家に向かった。


いつものような重い足取りではなく、軽く跳ねるような気持ちで―――




※




「……よし、行ったね」


恐らく、自分の家に向かった彼女を見届けると、僕は静かに立ち上がる。


あの性格で本が好きということはかなり積読をしていると予想したが、やはりといった所だろうか


でも、監視なのに、監視の目を外したら駄目だよ


何をやるか分からないんだからさ―――

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