10.環境破壊者 ロスト
僕は寝るのが好きだ、ゴロゴロするとも言う
ただ何の意味の無い行為、疲れてもいないのに休憩するという愚行
それがとんでもなく気持ちがいい
その行為を、さらに至上の天上の物へと進化させると言われている伝説の宝具
極楽鳥の毛布
ああ、気持ちいい、どんな動物の毛でも敵わない、これが最高
ふわふわしていて、雲のようで、雪のようで
硬くて、揺れて、熱くて?
……ああ、夢か
薄暗く、誰もしゃべらず静かに揺れる車内
最悪だ、先ほどの極楽鳥を返して欲しい
いや、帰ってきた、僕の目の前に極楽鳥が100匹いる
ああ、そうだ、うわーたくさんいる、嬉しい
こんな、ガタガタした荷車に乗せられればそんな現実逃避をしてもおかしくはないと思う。
「着いた?」
「着いてません、あと、数時間かかります」
はぁあと数時間とは、軽い気持ちで受けなければよかったな
もう逃げちゃおうかな、でも極楽鳥がなぁ
まぁ自分で探せと言われればそれまで何だけど
めんどくさすぎる
「数時間かぁ、というかここ何処なの?」
「説明しましたよ」
「……それは、ごめん」
「もう言いません」
……ちょっとくらい教えてくれたっていいじゃないか
まぁ聞いてない僕が悪いんだけど
「あ、ねぇデカブツ君、ここ何処?」
「エ、あ、はい、ここは……」
「言わないでください、答える必要はありません」
「エエ、いや、でも……」
「そうだよね、デカブツ君は僕の方がいいよね」
「いえ、ガードさん、女王様にいいつけますよ」
「ア、エ、ヤ、ちょっとそうですね」
オロオロとしているデカブツ君、さて、君はどっちを選ぶんだい?
「ロ、ロストサン、ここは……」
「チッ」
ミラの舌打ちが車内に響く、その鋭い眼光はデカブツ君を睨んでいる。
「ヒィ、でもすいません、こればっかりは……」
そうだよね、長年の付き合いだもん、
「ここは、ヘルメスの大森林、第二階級の探索区域です」
ヘルメスの大森林、ああ、聞いた事がある
虫が嫌いだから潜ったことは無かったけど、ここがそうなんだ
「はぁ、そうです、私たちエルフの国ユグドラはここヘルメスの大森林の中央にあります、普段は微睡の魔術をかけているので一般人に見つかる事はありません」
微睡の魔術……第二、下手すれば第一の探索者にも気取られないという事はかなりの高等魔術なんだろうな。
「着きました」
「え?ついた?エルフの国?」
「いえ、違います、目的地に、です」
ん?それがエルフの国なんじゃないのか?
「まず前置きを、今から始まる事は女王様とは一切関係ありません」
はぁ
「今から、この森の中からエルフの国を探していただきます」
そう来たか
「簡易的な試練と捉えてもらって構いません、エルフには頭の硬い老人が多いもので、まぁロスト様なら簡単に突破されるんでしょうけど」
女王と関係ないって事はめんどくさいごたごたが内部であるんだろう
まぁ僕は毛布を受け取る為に来てるから関係ないけど
……探す、探知、探知かぁ
「どうしました?始めてもらって構いませんよ?」
んーいやね、僕も早く始めたいのはやまやまなんだよ
早く毛布欲しいし、けどね、一つ、大きな問題があってね
「……いや、僕さ、探知系統の魔術得意じゃないんだよね、ほら牢獄で君の存在にも気づかなかった、極楽鳥も見つけられてないじゃん」
「……本当に探索者なんですか?」
「よく言われる」
「……はぁ、どうしましょう」
困っている、明らかに困っている、なら、こんな試練させずに普通に案内しろよとは思うが、まぁ彼女も板挟み状態なんだろう。
このまま、彼女が困っているのを見るのも、まぁそこそこ楽しいけど、僕は早く極楽鳥に包まれたいので
「まぁ安心してよ、僕も探索者歴長いから、隠れている物を見つける方法くらい心得ている」
「!そうですか、まぁそうですよね、女王が選んだ人なんですから」
「さぁやってください!」
「わかった!」
「Nepo」
黒い水球が僕の頭の上に生まれる。
「ん?それは、あの炎男の時の……」
「見てたのか、じゃあやることは分かるよね」
「ああ、いや、はい、分かりますけど……」
「よし、じゃあ全員……」
「退避!」
「は?」
「Verutum 」
反応し、逃げる暇もなく、黒い水球は破裂し、黒い槍となり周囲に飛んでいく
そして、いや、これ、まさか……
「Floga」
辺り一帯に炎が溢れる、そして、この後、何が起こるかは知っている―――
「爆発だ」
黒い槍を起点に各所で爆発が起こり、それが一つの大爆発としてまとまる
うーん、まだ足りないかな
「Nepo」
またまた、黒い水球が現れる、そして、さっきまでの工程が繰り返される
ヘルメスの大森林が荒れていく、爆発が繰り返され、森が破壊されていく
すると、あら不思議、明らかに爆発が影響していない区域がある。
「よし、見つけた!あそこだ!」
意気揚々と指さすロスト
爆発に巻き込まれてびくびくしているガード
呆れるミラ
「女王様……あなた、男を見る目が無いようですよ」
僕たちはエルフの国を見つけた!
よし、待ってろ極楽鳥、あとエルフ




