【恋】四月に降る雪
告白の言の葉が揺れて、白雲がなにかを思い出す。
カキツバタが咲き始める頃に、寄り縋る肩を探して腕が彷徨う。
清々しい正解が欲しいわけでも、過ちを消し去りたいわけでもない。
ただずっとここで待つわけにもいかないから、この景色をいつまでも抱きしめるのです。
季節外れに降る雪は、あなたの想いなのでしょうか。
願いが叶うのであれば、振り積もってはくれませんか。
遠い昔と笑って見せるのもいいでしょう。
早く忘れてしまえと叱ってくれるのも愛でしょう。
それでも私の身体は、取り残された影すらも、
あなたが迎えに来てくれることを、憶えてしまっているのです。
思い出と済ませるには重く、闇雲な心に蓋をする。
待ち侘びた季節のはずなのに、どうしてこの瞳にはまだ寒さが残っているのか。
口寂しい静寂に佇んで、耳障りな過去を振り払っています。
ただきっともう手遅れなのでしょうから、目を開いたまま涙が零れるのです。
季節外れに降る雪は、あなたの答えなのでしょうか。
許してくれるのであれば、いつまでも聴かせてはくれませんか。
どんな悪口でも受け入れましょう。
悲しみを乗り越えて笑ってみせましょう。
それでも私の身体は、塞ぎ込んだ気持ちでさえも、
あなたが温かく照らしてくれることを、憶えてしまっているのです。
さようなら。
最後に教えてください。
一ミリにも満たない積雪では、あなたを忘れることが出来ないのです。
またいつか。
その一言だけで、もう一度歩けるようになる気がするのです。
季節外れに降る雪を、手のひらに集めて凍えています。
数えきれない思い出とともに、ひとつひとつ溶けていきます。
小さな幻でも追いかけましょう。
愛しているの言葉を繰り返しましょう。
それでも私の身体は、微かな希望すらも残さず、
あなたが清らかに去ってしまったことを、確かに憶えてしまったのです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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【※この先は、作者による作品解説です。
自己解析・自己考察を含みます。
読後の余韻を大切にされたい方は、ここで読むのをお止めください】
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なんだか歌うように物語を書いてみたくて、鼻歌交じりで作った結果、なんとも見事に暗い話が出来上がりました。
普段の書き方では出て来ない言葉やフレーズが出てきて、作者としては面白かったので、またやってみようと思います。
作者考察ですが、先ず失恋と読んでよいでしょう。
ただ、単なる別れよりも、悲しいことは間違いないでしょう。
空から降る雪が〝あなた〟なのであれば、それはもう違う世界に行ってしまったのだと思います。




