【独】誉れ
空を駆ける馬がいる――
いや、そう思えてしまうほどに、
鮮やかに大地を蹴る。
白を追い越した半透明の鬣が、
あろうはずのない光源に煌めく。
闇夜。
何処までも広がる草原において、
月の明かりも頼りない。
我先に輝かんと、
一面を覆う星々がちらつく。
それらに負けようはずがない。
逞しき蹄が蹴り上げるたびに、
地球が回る音が響く。
夜の黒に抗うように、
赤く浮き上がった筋肉が輝く。
そのままであれ――
首を凛々しく伸ばし、
行く手を邪魔する気怠い風など、
鼻息ひとつで蹴散らしてしまえ。
二つの眼で遠くを見据え、
誰よりも疾く走り、
何よりも気高く嘶け。
夜空に浮かぶ山脈の輪郭も美しかろう。
その先に広がる空は、途方もなく大きかろう。
それでも、そこにあるひとつの身体が、
素晴らしいのだ。
自然の頂よりも誇らしく、
宇宙の無限よりも神秘なのだ。
それが、君なのだ――
君という〝ひとつ〟は、
世界で唯一無二の誉れなのだ。
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【※この先は、作者による作品解説です。
自己解析・自己考察を含みます。
読後の余韻を大切にされたい方は、ここで読むのをお止めください】
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私にしては珍しく、人間賛歌ですね。
作者も人間なので、生活の中での出来事が反映されることも多く、私の場合、こういった煌びやかな作品が書けるときは、総じて疲れています(笑)
自分の作品に癒されたいのです。




