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あなたに読まれたい  作者: 三軒長屋 与太郎


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39/58

【独】されど、汝、さげすむなかれ


君は何を想う?

ぼくは、色んなことを思うよ。

知ってるって。

人は死んだら、ゲロと変わらないんだろ?


言いすぎたかい?

それでも変わらないよ。

心なくして、人間とゲロとを、

どうやって見極めるんだい?


君は、人間にとって、

心がどれほど大切なのかわかるかい?

心がどれほど、〝自分〟を成しているかわかるかい?

分かっている〝つもり〟だろ?

今の君に、心など無いのだから――


分かる、

君が言いたい言葉が。

情けないだろ?

僕だって仕方なく人間をやってるからして、

心はあるし、傷も付くのだ。


内なる負傷を、見せるのか、隠すのか。

君は前者だろ? 僕は後者だ。

大丈夫だよ。

君は誰にだって癒してもらえる。

沢山の優しい言葉を掛けてもらえる。

僕は、僕自身で癒す他にない。

これが、君と僕との違いさ。


もっと、自分をさらけ出せばいいって?

周りに弱さを打ち明ければいいって?

勘弁してくれよ。

見ず知らずの人間に、身体を触られたくはないだろう?

一緒だよ。

赤の他人に、心など見られたいわけがないだろう。


君のその感覚は、この時代のバグさ。

傷跡を見せびらかす人間と、

それに群がりじろじろと見つめる人間。

〝優しさ〟という名の鋭利な刃を振り回し、

〝真実〟という名の嘘をつく。


君がやっているそれは、

医療器具も資格も持たず、

自らの経験則という不確かな塗り薬を、

ベタベタと塗りたくってるだけだ。

双方に、心が埋められた気になっているだけ。

まるでおままごとなのさ。


銀歯ってあるだろう?

あの下で、虫歯は進行するのだよ。

継続して診る気がないのなら、

専門家の邪魔になる治療は避けるべきだ。

君の勘違いな正義は、

簡単に人を魔境へと引きずり込むのだ。


そこで、ひとつ。

君は、人の心ってやつが可視化出来ると思うかい?

いま君が見ているタブレットや、PC画面の中に、

心が映り込むと思うかい?


あり得ない。

君が心だと思っているそれは、

例外なく呪詛の類だ。

文字だ。

僕が書いているこの想いも、

二進法に変換された時点で、

ただの、文字なんだよ。


されど、汝、さげすむなかれ――


強くなれとは言わない。

ただ、優しくあって欲しいと願う。

僕が言葉を贈らないのは、

君を想う優しさなんだ。


この世界に救いを求めるな。

ここは、現実よりも美しく見えるかもしれない。

はるか遠くの慈しみに、

触れられる気がするかもしれない。

忘れていた気持ちや、素直な怒りが、

擽られる感覚に酔いしれることが出来るやもしれない。


よく見なさい。

色鮮やかなゲロが混ざり合っているだけだよ。

画面に顔を近づけるな。

脳を殺して言葉を綴るな。

安易に心を、インストールするな。


現実の救いなくして、君が救われることはない。

毎日モルヒネを打ち続けているに相違ない。

この空間の中に、人間は存在しない。

虚構でしかない。


そうやって、僕は今日も、

SNSにログインする。



お読みいただき、ありがとうございました。

誤字・脱字に関すること、細やかな評価や感想をいただけますと、励みになります。


【※この先は、作者による作品解説です。

自己解析・自己考察を含みます。

読後の余韻を大切にされたい方は、ここで読むのをお止めください】











——————————


今作はまんま、SNSでの在り方を書いているのですが、散々文句を言った後に、結局ログインする〝僕〟ってのがこの作品の核であり、SNS依存や、行き過ぎたメタ思想への、作者なりのアンチテーゼです。


私はこんな感じの作品ばかり書いているからか、なかなかに批評されたりもするんですよ。

ただ作中で触れている通り、私はSNSの中の世界を色鮮やかなゲロだと思っています。

また、そこにログインする自分自身も、ゲロとなって、電子空間を泳いでいるのだと思っています。

実体は、部屋の中でパチパチとキーパッドを叩いているだけですから。


誉め言葉は花束に変換して抱きしめる。

さげすむ言葉は、ゲロに変換して、排水溝に流す。

淡々と……それくらいが丁度良いのだと思います。


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