【恋】AM 0:00
君のことは好きだけど……
やっぱり、つまらない。
きっと俺の魅力ってのが、
なんにも分かっちゃいない。
朝はお互いに弱いから、とりあえず励まし合う。
一日の始まりを無下にしたくないのはお互い様だし、
これって愛の中でも、簡単な方だ。
夜はもっと単純。
お互いに需要と供給が成り立っている。
そもそもに、乱れたいし。
『朝は女を大事にしろ』
これは、教科書には載らない偉人の名言だ。
無防備な時ほど、優しさを感じやすい。
積み重ねだ。
平穏の中の愛情の、積み重ねなんだ。
『浮気のコツは、嫁を抱け』
愛に飢えた女は勘ぐる……
そこに秩序なんてものはない。
ただ、乾いた喉を潤したいがために、
彼女たちは舌を出す。
帰る家があるなど、つまらない……
満たされるはずがない。
そりゃ、深夜の俺がどう考えたって一番自由なのに、
君がそれを許すはずはない。
俺は、AM 0:00 に果てる――
すべての欲求が、終焉を迎える。
干潮の海のように、隠していたものが露わになる。
君には見せたことのない、泥濘が顔を出す。
いけないことだと理解している。
どうしようもない男だと、自覚もしている。
それでも、ほくそ笑む月に囃し立てられた興奮に、
抗える術がないのだ。
君は知らない。
娘の友達の母親も、
仕事先の事務員も、
深夜の俺を愛してくれていることを、
君は予想だにしていない。
夜の店で働く女も、
出会い系アプリも、
俺を赤黒く染める大罪を、
君の脳では描けない。
俺は確信している。
君にバレようはずがない。
仮に、手と足を縛り上げられても、
俺の渇望は治まらないんだ。
君に見つけて欲しくはないのだ。
時計の針のように重なり合い、
汚らわしく猛る零時の影を。
俺の背信を咎められる前に、
今日も……
明日、明後日も……
AM 0:00 に、
君の手が届かない隙間に果てる――
お読みいただき、ありがとうございました。
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【※この先は、作者による作品解説です。
自己解析・自己考察を含みます。
読後の余韻を大切にされたい方は、ここで読むのをお止めください】
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先に言っておきますが、これは作者の独白ではないですからね。
フィクションです。ただのお話です。
それにしても、こっちもけしからんですね。まったく。
これは私の自説ですけどね、浮気しない男なんて、ホワイトライオンくらい稀有ですよ。
ただ、ほとんどの『浮気しない男』は、単純にチャンスと実力がないだけ。
夜の世界は、昼の世界より、競争が激しいのです。
罪悪感を抱えながらも、巧妙な嘘を吐き、相手が間違った気を起こさないよう、細心の注意を払い続けなければならない。
そうまでしても浮気するんですから、それはもう本能に近しいのです。
PM 0:00 と、AM 0:00 。
二人の今後が気になるところです。




