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あなたに読まれたい  作者: 三軒長屋 与太郎


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28/71

【恋】PM 0:00


あなたのことは好きだけれど……

やっぱりつまらない。

きっと、わたしの愚かさってのが、

ちっとも分かっていない。


朝はお互いに弱いから、なんとなくに励まし合う。

一日の始まりを無下にしたくないのもお互い様だし、

それって愛の中でも、簡単な方だと思うし。


夜はもっと単純。

お互いに需要と供給が成り立っているし、

そもそもに、寂しいし。


昔みたいに、寝るときの化粧なんてしなくなったから、

朝の私はみすぼらしいと思う。

それでも、欠かさずに唇を重ねてくれるのは、

純粋に嬉しい。


最近は寝間着も質素になったから、

夜の私はさして魅力的ではないと思う。

それでも、時折強引に乱してくれるのは、

恥ずかしいけれど、やっぱり嬉しい。


それでも、つまらない……

満たされない。

だって、昼間の私がどう考えたって、一番綺麗なのに、

あなたはそれを見てくれはしない。


わたしは、PM 0:00(ごごじゅうにじ) に絶頂する――

すべての欲求が、最高潮を迎える。

大潮の海のように、溢れたくて仕方なくなる。

あなたには見せたことのない、高揚に染まる。


いけないことだと理解している。

どうしようもない女だと、自覚もしている。

それでも、てっぺんに昇った太陽に覗かれている興奮を、

抑える術がないのです。


あなたは知らない。


娘の担任の先生も、

パート先の店長も、

昼間のわたしを愛してくれていることを、

あなたは予想だにしていない。


角の家の大学生も、

本屋で働く青年も、

わたしを紅く色づかせている大罪を、

あなたの脳では描けない。


わたしはどこかで、

あなたの裁きを待っているのです。

手も足も縛り上げられなければ、

わたしの絶頂は治まらないから。


あなたに見つけて欲しいのです。

時計の針のように重なり合い、

美しく汚れた正午の影を。


私の背信を叱る前に、

いつか……

いつかきっと……


PM 0:00(ごごじゅうにじ) に、

抱きしめて下さい――



お読みいただき、ありがとうございました。

誤字・脱字に関すること、細やかな評価や感想をいただけますと、励みになります。


【※この先は、作者による作品解説です。

自己解析・自己考察を含みます。

読後の余韻を大切にされたい方は、ここで読むのをお止めください】










——————————


けしからんですね。実に。

浮気ですよ浮気。あんたの奥さん浮気してますよ。

団地の昼は魔境に繋がるといったところですかね。

それにしても、人間の愛への欲求は、どこから湧き上がってくるのでしょう。

そしてなぜ、美しさを纏うのでしょうか。

淫らな性の中にも、獣とは違う愛憎が煌めく。

それも、人類に与えられた罰なのかもしれませんね。



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