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【第一章完結!】猫又でーす、異世界にいまーす。  作者: くろこげめろん
第二章 新大陸

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46 道

 屋敷の外に出てシアンたちを探し回っていると、庭の大木の下にすぐ見つけることができた。木の根元に座りながら泣いているシアンの背を、イエローが優しくさすっている。iP○dもといタブレット端末は破壊されずにそばにあった。


「大丈夫?」

「ああ……アップヒル。ぐすっ、いっしょ、来てくれる……?」


 大きく頷く。シアンは泣いたまま僕に抱き着いてきた。


「うう……私、じいちゃんに会ったこともないのにぃ……」


 そうか……姉であるイエローが生まれる直前に旅に出たのなら、妹のシアンも会えていないのも当然だ。この姉妹は会ったこともない祖父のために家を追い出されたわけである。

 ちょっと体勢がきつかったが、しばらくそのまましているとシアンはようやく泣き止んだ。


「ごめんね……よしよし」


 せっかくさっき魔法で整えた髪が再びかき回される。ぼさぼさの髪で微妙な顔をしている僕を見て、シアンとイエローは同時にくすりと笑った。仕草が似ているのは、やはり姉妹ということか。

 僕の背後からたったっと小さな足音が聞こえる。

「おねえ!」

「おっ」

 ギルガメッシュくんが僕に飛びついてくる。かわいいね。

 そらちゃんはその後からゆっくり歩いて来ていた。が、足が若干ぴくぴくしているので自分も飛びつきたいらしい。僕が手招きするとそらちゃんも走ってやって来た。


「その子たちは?」

「妹のそらちゃんと、弟のギルガメッシュくん。あともうひとりいるんだけど……恥ずかしがり屋だから隠れてるかな?」


 たぶんこの近くに潜んでいるだろうということで軽く挑発してみたのだが、ジークフリートくんは姿を現さなかった。そばにいたとしてもギルガメッシュくんたちよりかなり落ち着いた性格だし、これがただの挑発だということも見抜いているのだろう。さすがと言うべきか寂しがるべきか……。


「おねえちゃん……きのう、しんぱいした」

「ごめんね」


 そらちゃんとギルガメッシュくんに一通り事情を説明すると、やっぱり着いてくるらしい。まあ、癒し要因という感じか。

 姉弟はかなり力はあるみたいだけれど、それをうまく制御するのが難しそうなのでまだ実戦には向いていないと思う。この前も爆発で自分のほっぺたを焦がしてたしね。


「「かわいい!」」


 シアンがそらちゃんと僕を同時に捕まえ、イエローがギルガメッシュくんの頭をなでる。そらちゃんは嫌そうだが、ギルガメッシュくんはまんざらでもなさそうだ。イエローって美人だしね。

 ともあれ、家を追い出されたショックから立ち直れたのはよかった。……またぶり返すかもしれないけど。




 街からかなり遠い、寂れたちいさな町の一本道。両隣はひたすら畑が続いている。荒れてはおらず人参のような野菜を栽培しているらしいが、人の姿はまったくなかった。遠くにひとつ小屋のようなものが見える。いちおう、ここもクロザキ家が治める領地らしい。

 シアンが「とりあえずパパの家から遠いとこに行きたい」と言うので、僕が適当に空を飛んでやって来たのである。


「タブレットはどこに行けって書いてあるの?」


 尋ねると、タブレットを見ていたイエローが僕の目の前に差し出してくる。

 タブレットには衛星写真のようなものが映し出されていて、右上には『次の目的地:リグマ洞窟 最奥部』と書かれている。どうやらリグマ洞窟はここの近くにあるようだ。僕もなかなかいい場所に着地したものである。すごいでしょ。


「でもねえ……リグマ洞窟って言ったって、一昨年くらいにもう探検隊が調べ尽くしているのよね。いまさら行ったところで特に何があるわけでもないだろうし……鉱物も何もないのに深さだけはとにかく深いっていう洞窟らしいわ」

「えー……」


 クロザキ姉妹は嫌そうだ。でも、このリグマ洞窟とやらに行かなければ次の目的地は表示されない仕組みらしい。


「どうくつたんけん! たのしそうじゃない?」

「ん」


 いっぽうの青い鳥姉弟はすごく乗り気だ。ギルガメッシュくんはさっきからスキップで道を歩いている。

 ……お、目的地の所をタップすると情報が表示される仕組みみたいだ。どれどれ……。


『ひたすら長い洞窟。世間一般では役立つ素材が何も取れない無駄洞窟などと呼ばれている』


 イエローの言ったことしか書いてない。タブレットの情報も特に役には立たなそうだ。


「あれ? 探検隊が調べたの、一昨年?」

「? ええ、そうだけど」


 じゃあこのタブレットはどこからか情報を仕入れているのだろうか。ケンジが旅に出る際にこれを執事に託したのはイエローが生まれる直前ということなので、十年や二十年は昔の話だ。つまりこのタブレットは情報を取得する機能も付いているらしい。

 i○SもAndr○idも入っていない、ただこのナビ機能が入っているだけみたいだが、そこそこ高機能ではあるようだ。


「なかなか高機能だね、そのiP○d」


 なんでみんなそう呼ぶのだろう。まあ、ケンジがそう呼んでいたし、存在を知らないこの世界の人たちからすればこのタブレットの名前がi○adであると勘違いするのも当然の話か。


「……おねえちゃん」

「どうしたの?」


 そらちゃんが歩みを止める。


「……くる」


 その言葉が終わるのと同時に、空から何かが高速で飛んでくるのが見えた。

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