第05話 冒険結果は落胆で
魔界の様な光景を見せられてから時は...流れずその直後
「こ、これは...?」
「こちらの者たちはガロア様へ仕えている者たちでございます。
普段過ごしている屋敷で見かけないのは
レイ様やシン様を怖がらせぬようとガロア様からのお達しがありまして...」
確かに屋敷の方ではメイドや執事なんかはみんな人間だったが...
それよりもなんでこんなにスケルトンがいるんだ?
獣人は友好的な種族もいるだろうから納得はできる。
だがスケルトンは基本的に知性を持たず人類にとっての敵というイメージが強い。
ソダもいるしこの世界ではこれが普通なのか?
人類と魔物と呼ばれるような種族が共存していることが...
いや、そもそも━━━
「いかがですかな?レイ様、シン様。」
「え、えっとぉ、聞きたいことは山ほどあるんだけど...」
「レイ見ろよ!!馬車だ!!」
まず何から聞くべきかを整理していると
歓喜に満ちたシンの声が聞こえた。
「どうした?馬車を見るのは初めてだけどそんな...おぉ...」
骨の馬だ...
そして御者はオーラのようなものが漏れ出ている騎士?である。
「思ったよりも早く馬車が到着しましたな。
ささ、お話は馬車の中で。」
「レイ!!早く乗ろうぜ!!」
「あぁ、うん...そうだね。」
まだ何も聞けていないが
シンにせっつかれたので馬車に乗り込む。
「どちらに向かいましょうか。」
「そうだな、敷地内を見て周りたいとのことだ。
街までは行かず、ある程度のところで引き返すようなルートで頼む。」
「かしこまりました。」
「しゅっぱ~つ!!」
シンは初めての馬車を楽しんでいるようだが
俺は気になることが多すぎて素直に楽しむことが出来ずにいた。
まぁ、多少の高揚感はあるが...
「なぁ、ソダ。
変なことを聞くかもしれないんだけど、ここはどういうところなんだ?
それにここはまだ敷地内みたいに言ってたよな。
俺には街にしか見えないんだけど...」
「レイ様は本当に賢いお方ですね。
シン様のように純真なるお姿を見られるだけでなく
賢者の如き慧眼のレイ様を...」
「ありがとうね。でもそれより今は質問の方を答えてくれるとありがたいかな?」
遮ってしまったが今は早く答えを知りたかった。
「おぉ、申し訳ありません。
そうですね、レイ様もシン様もお屋敷からは出たことありませんでしたし
話題にあがることもありませんでしたからな。
長くなってしまうかもしれませんが説明致しましょう。」
「なんだ~?冒険中なのに勉強か~?」
シンが少しだけ不機嫌そうに会話に混ざってくる。
「ふふ、そう言わずにシン様もぜひお聞きになってください。
いかにしてレイ様とシン様が住まうこの地が生まれたのか。」
「さて、この地の成り立ちを説明する際にまず大前提として知ってほしいことがございます。」
「大前提?」
「えぇ、この前提無くして話は出来ませぬからな。」
先ほど見た多くの人達(スケルトンや獣人だが)が付き従っており、
ソダの様な高位の者も自らを家臣と称している以上
かなり歴史の長い家だと思っていたが...
この地の成り立ちに関わるレベルなのか。
「まず、ガロア様は神をも超える存在なのです。」
マズイ...これはソダのいつものアレなのだろうか...
ツッコミどころか...?
だが一々ツッコんでいたら話が進まないのではないだろうか...!
「そしてこの地は元々そんなガロア様が住まわれていた
ただそれだけの場所なのです。」
あぁ!悩んでいる内に話が進んでしまっている...!
ん?ただ住んでいた場所?
「お父様がただ住んでたって、じゃあなんでこんなに人がいっぱい居るんだ?」
シンも同じようなことを思ったようだ。
「やはりシン様も賢いですなぁ...!
ここにはガロア様が、今ではヒカリ様やレイ様、シン様も一緒に住まわれている
あの屋敷のみがあったのです。
しかしガロア様に縁のある者たちがガロア様に忠誠を誓い
生涯にわたり仕える為にとこの地へ集い、
屋敷を中心とし、取り囲むように生活圏を築いていったのです。」
「それが今、周っているこの敷地でございます。
当時は貢物などを保管しており、
その保管している者たちや貢物を運ぶ者たちによって徐々に活気づいていきました。」
「その規模が大きくなるにつれ生活圏も拡大していき、
結果として貢物だけではなく食料品や衣類、医療品など
非常に様々な物資がこの地へと運ばれるようになりました。
そして多くの物資が運ばれていると噂を聞いた商人や旅人たちが興味を示しました。
そうすると貢物として選ばれなった物資の売買が行われるようになり
経済も生まれました。」
なんだろうか...
なんだかとんでもない規模の話を聞かされているような気がする...
俺らの父親がここにいただけで社会が形成されたってことだよな...?!
しかし全てに質問していては話が進まないだろうし、
とりあえずはこの世界の世界観的な部分を知らないといけない。
「話している途中で申し訳ないんだけど、ちょっと気になることがあるんだ...」
「いえいえ、気になることがあれば何でもおっしゃってください。」
「商人や旅人たちとの売買で経済が生まれたって言ってたけど、
スケルトンと人間は友好的な関係なのか?」
「確かに、そこも説明せねばなりませんでしたな。」
「まず、私を始めとしたガロア様の治める地とその周辺国家に住まう
理性ある魔族達は無暗に他種族と争いを起こすことはありませぬ。
事を構えていてはお互いに疲弊していくだけですからな。」
『理性ある魔族達は』ということは普通の魔物もいるようだ。
それにしても魔族が住まう国家...
やはり魔界に近いような地なんだろうか?
「しかし、説明とは難しいものですな。
私たちにとっては当たり前のことだと思っていましたが、
レイ様もシン様もまだ生まれたばかり...
くっ...私が教鞭を執る立場であったならもっと簡潔的に伝えられたものを...!!
不甲斐ないばかりで...!!」
「このソダ!!レイ様のお役に立てる絶好の機会を!!
みすみす逃す羽目になろうとはぁっ!!」
「いや、そんなに自分を責めなくても...」
「いえ!!力さえあれば大切なものを守れるのだと驕っておりました!!
もっと多くのことを学んでいれば...!!」
「ソダ、落ち着いて...話が逸れて...」
「おい!!レイ見ろよ!!なんかすげぇ美味しそうなものがあんなに!!」
こうして自分を責め続けるソダと大興奮のシンを落ち着かせることに終始して
聞きたいことの1割程度も聞けずに帰還するのだった...
〈レイとシンの一言〉
「もっと聞きたいことがあったんだけどなぁ...」
「色んなものが見れたのにガッカリしてるなんてレイはホント勉強の方が好きなんだな~」




