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第06話 新たな邂逅は運命で


シンとソダとの冒険からほんの少しだけの時が流れていた。



「レイとシンの紹介を兼ねたお茶会や晩餐会などのパーティの日程が決まった。」


ガロアから突然の宣言である。


ヒカリに連れられて俺とシンは普段ガロアが業務を行っている部屋に来ていた。

珍しいこともあるもんだなと考えていたそんな中での宣言だった。


「パーティって何するんだ~?」

「今回のパーティっていうのはねぇ、

 色んな人を呼んで一緒にご飯を食べたりするんだよ~」

「ヒカリ様、立場ある者としての振る舞いも求められますゆえ

 もう少し詳しくご説明された方が...」


シンとヒカリとソダが気の抜ける会話をしている。

とは言え、俺も貴族のように身分の高い人たちが開催するような

パーティについての知識は持ち合わせていない。

うん、何だか不安になってきたな!


「ソダと共に敷地内を見て周った時にある程度の話は聞いただろうが

 俺とヒカリの間に産まれた子だからな。

 友人や各国へ紹介せんわけにもいかんくてな。

 まぁ、二人ともしっかりしてきたしそろそろ大丈夫だろうと思ってな!!」


本当にある程度しか聞けてないんだが...

しかもしっかりしてる判定が甘すぎないか?

つい最近ようやく自分たちがどんな所に住んでるか知ったばかりの子どもだぞ。


「というよりは周りがうるさくてな。

 特にアメノスとマリィが早くしろと...自分たちが主催すればいいものを...」

「も~あの2人がパーティなんか開催できるはずないってガロアも分かってるでしょ~!」

「いや、そうだが...!どうにも面倒な部分を押し付けられた気がしてな...」


なんとなく察してはいたが、ガロアは自分の身分的な部分には頓着が無いようだ。

ヒカリもそうなのだが、やはりこの地の成り立ちと関係しているのだろう。

やはりもう少し詳しく知りたかったが、

何よりも今は━━━


「お父様、そのパーティはいつ頃の予定なのですか?」

「ん?あぁ、すまんすまん。

 今から丁度一ヶ月後に2日間かけて行う。

 1日目は俺の古くからの友人と

 今度レイとシンの家庭教師を頼もうと思っているやつしか来ない。

 ちょっとしたティーパーティみたいなものだから

 細かな礼儀とかは気にしなくて良い...はずだ!」


「2日目は周辺国家を始めとした、交流を持っている国のお偉いさんとかを招待してある。

 あとは招待した者たちが俺らに紹介したい人物を連れてきたりとかだな。

 俺たちが直接招待してない者たちについては事前に連絡をもらいリスト化してある。

 晩餐会が始まる時なんかは俺が挨拶するが、

 それ以外は基本的にはあちらから挨拶してくるはずだ。

 こちらが招待した側だが、まぁ俺たちは立場が特殊だからな。

 とは言えなるべく名前と顔が一致するようにはしておいてほしい。

 まだ幼いお前たちには大変だろうが、俺とヒカリの子だからきっと大丈夫だ!」


(すごい...!!こんなにしっかりしてるところを初めてみたかもしれない!!)


普段は家族に対して優しい父の面を見せていただけで、

この地を治める者としてしっかりしていたんだな...

なんだか渋々開催するような感じだったし、雑な部分が多々あった気がするけど!


「それにしてもマナーなんてよく分かりませんし、緊張しますね...」

「俺も!ご飯とか食べる時には行儀よくするとかぐらいしか知らないぞ!」

「大丈夫だ!まだ1ヶ月もあるし、1日目は親しいやつしかいないからな!

 そこを練習だと思ってやればいい、話は俺が通しておくさ!」

「「お父様...!」」

「ガロア...!」

「ヒカリ様はもう何度も経験なされたでしょう!

 助かった...!みたいな顔をなさらないでください!」

「私、あぁいうピシッとした空気苦手なんだよ~」


確かに普段の食事は一家団欒の場としてのイメージだな。

それこそ厳格なマナーとかの話はなかった...

俺としても助かっていたのだが、

いざこういう社交の場というのかマナーを重んじる機会に直面して

貴族が普段からマナーに厳しいのはこういう時の為なんだなと尊敬の念を抱いた。



ーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーー

ーーーー



あれから1ヶ月間挨拶の仕方など基本的なものに始まり

テーブルマナーや動きの所作などを学び、

なんとか様になる程度には身に付けることが出来た。

付け焼き刃だが世間から見ればまだ3歳の子どもである。

充分な出来栄えであると信じたい。


「それじゃ~お客様が来る前に復習しておこうか~

 まず初めての挨拶は~?」


朝から正装し身だしなみを整えた後に時間が余っていたので

ヒカリやシンと共にマナーの最終確認をしていた。

そしてそこで気づいたのだ、とんでもない事実に。


「お初にお目にかかります、私レイ...」


俺のフルネームってなんだ...?!


「初めまして!シンです!!」


シンは敬語が仕えるだけで上出来という判断で

あとは付き人がフォローに回ることになった。

ではなく、やはりシンも名前しか名乗っていない。

苗字、この世界ではファミリーネームの方が正しいのだろうか。

全く聞いた覚えがないのだ。

練習に必死過ぎて気づかないとは!

というかなぜ誰も指摘してくれないのか!


「どうしたの~レイ?

 何も間違ってなかったよ~」

「え、えっと、その、お母様、今更なんですけど

 私のフルネームって何でしょうか?」


普段からフルネームを名乗る機会もなければ

誰かに呼ばれることも無かったから意識していなかったが

この年齢まで知らなかったのはマズいのでは...


「あ~...うんうん、そうだね~

 そう言えば伝えてなかったね~

 『レイ』と『シン』がフルネームなんだよ。

 ガロアもそうなんだけどね、今はそういう家なんだって思って~

 今度ちゃんと説明するね~」


苗字やファミリーネームが無い...?

基本的には『○○家』みたいな呼ばれ方をするんじゃないのか...?

俺は本当にどんな家に産まれたんだ...?


「でもね、もしレイがどうしてもって言うなら

 ママが昔名乗ってた苗字と言うものを教えてあげましょ~」


おぉ!苗字!

なんとしっくり来る響き...!

やはり日本人だったんだな!

俺としても苗字・名前が名乗りやすいので非常に助かる。


「ママはね、昔サトウって苗字があったんだよ~」


サトウ?!

佐藤 光ってこと?!

そうなると佐藤 レイと佐藤 シンってことか?!

ゴリゴリ日本人ネームだ!!!

す、すごいな...苗字が付くだけで急に日本人の名前になったぞ...

名前単体だとそうでもないのに...


...いや素敵な名前だとは思うんですが

貴族的な身分の人が佐藤って名乗るのは違和感が凄い。


「あ~、えっとぉ...」


「奥様、レイ様、シン様、そろそろお時間ですのでお出迎えの準備を」

「は~い、それじゃあいっこか~」


せっかく教えてもらったものを拒否するのは気まずかったので

ナイスタイミングだと思ってしまった。



ーーーーーーーーーーーーーー



部屋からエントランスへと移動し

メイドや執事を含む一家総出で来客を待っていた。


ガロアの古くからの友人や、何の教科かは分からないが家庭教師...

どんな人たちが来るのだろう。


「ルミナント殿下夫妻のお成りです!!」

「お、来たようだな」


(今、殿下って言ったか?!知り合いしか来ないから気楽にみたいなこと言ってたよな!

王族相手に気楽には無理だよ!!)


とんでもない情報に困惑しながらもこちらへ歩いてきている人影へ目を凝らす。


何だか見覚えのあるシルエットが...


ソダだ。

ソダやスケルトンが護衛を兼ねて客人を案内しているようだ。


(そう言えば朝から見てなかったな...いやいやソダのことじゃなくて...)


改めて護衛されている人物へ目をやる。

白銀の長い髪に、透き通るような白い肌

そして尖った長い耳。

もしかしてエルフではないだろうか?!


この世界に転生して異世界の代名詞とも呼ばれるような存在を始めて目にした。

いやスケルトンや獣人は沢山見たが...


(この世界にエルフってちゃんと存在してたんだな...!

魔族とかしかいないのかと...!)


そしてその隣には赤黒いローブ?を着ており

顔は...なぜか認識できない。

代わりに青白いオーラのようなものが揺蕩っているように見える。


「魔法王朝エルメシアの第一王女ロア・ルミナントです。

 本日はご招待いただき誠にありがとうございます。」


第一王女って言ったぞ...

良いのか?王女を知り合いとして呼ぶって...

何か国際的に問題とかはないのか...?

俺も詳しくないから何がどうマズいとかは分からないけれど...!


「ほら、あなたも挨拶なさい」

「の、ノア・ルミナントです。」

「ごめんなさいね。緊張しちゃってるみたいで」

「いえいえ、まだ幼いのにしっかりしていらっしゃる。」


護衛やロアの間に隠れていて見えなかったが一緒に子どもも来ていたようだ。

全体的に薄めの紫で毛先に行くにつれ青髪っぽくなっている不思議な髪だ。

母親であるロアに似ているのか幼いのに既に綺麗な顔つきだと感じる。

━━━っと挨拶をせねば


「お初にお目にかかります。レイと申します。」

「初めまして!シンです!!」

「あらあら、礼儀正しいわね。」

「着いたばかりで立ち話をさせてしまって申し訳ありません。

 さ、中へどうぞ。ヒカリ案内してやってくれ。」


そう促されロアとノア、そして謎のローブの人一行は

ヒカリと共に屋敷へと入っていった。


「ふっ...まずは第一関門を乗り越えたな...!」

「そうですね、まさか王族が来るだなんて...」

「そうなんだよなぁ...普段のアイツを見てるとつい忘れそうになる、

 というか忘れていたから伝え忘れていたと言えるな...」


本当にしっかりしていたはずの父親はどこへ消えてしまったのだろう...


「お父様、ロア殿下のお隣にいたあの方は...」

「ん?あぁ、アイツはかなり特殊な存在でな」


良かったあああぁぁぁ!!

なんか俺にしか見えない何かかと思ってた!!

皆スルーしてたから見えてないのかと...!!


「あいつはな...」

「アメノス様、マリィ様のお成りです!!!」

「来たか...」


ガロアが急にドッと疲れたような顔をした。

話を止め、出迎える為に正面へ向き直る。

向き直った瞬間俺は唖然とした。


全ての者がその場に平伏していたのである。

護衛をするはずのスケルトン達やソダでさえも━━━


そんな中を悠然と歩いてくる人影が3つ。


1人は真白な髪に深紅の瞳を持つ男

圧倒的な、それこそ問答無用で平伏してしまいそうなオーラを放っている。


1人は桃色の長髪と瞳。男とは対照的に見ているだけで癒されるような感覚を覚えた。


その2人の間に淡い色の...そう桜の様な髪と瞳をもつ子がいた。


そして一目見て感じた。

あの子は━━━





この世界の、理外の存在であると。


〈レイの一言〉

「なんか特殊だとか特別だとかで濁されてること多くないか?

 ちゃんと説明されるタイミングあるのか?」


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