第04話 その光景は驚愕で
双子の天才が爆誕したと両親がお祭り騒ぎをしてから
時は流れに流れて、俺たちは3歳になっていた。
3歳にもなると足腰がしっかりして来て、文字もある程度読めるようになってくる。
なのでずっと気になっていたこの世界のことや魔法についての本を読みたかったのだが
一からこの世界の言語を学んでいる俺にはまだまだ難しく碌に読むことが出来なかった。
それに━━━
「レイ~まだ本読んでんのか~?早く遊びに行こうぜ~!」
「ん~?あとこのページだけ...」
「そう言ってやめたことないだろ~!なぁなぁ!遊びに行こうぜ~!」
このように本を読んでいると毎回シンが遊びの誘いにやってくるのだ。
なので色んな知識を学ぶということには難航している。
「なぁ!なぁ!なぁって~!!」
「分かった、分かったからあぁあぁあぁ~~~!」
あれからシンの身体能力は爆発的に伸びていき
まだ3歳時だというのに人の視界をブレさせるレベルで
身体を揺さぶったり出来る程だ。
同じ幼児だからかもしれないが...
その有り余る力と体力を発散する為か
どんどん活発的になり読書などよりも身体を動かして遊ぶのが好きなようだ。
「じゃあ、この本片付けてくるから」
「は~い!」
俺はシンとは違い読書が好きだった。
元の世界には無かったものを知っていくのはゲームの攻略本や
マンガのファンブックなどで世界観を読み込んでいくのと近くて楽しいのだ。
傍から見ると容姿の違いもあり対照的な双子に見えているだろう。
自分で動き回れるようになり鏡を見て初めて気づいたのだが
どうやら二卵性双生児だったようだ。
俺は母親似で黒髪に赤髪が少し混じっており黒目、
シンは父親似で赤髪に黒髪が少し混じっており赤目なのである。
顔つきも似てはいるものの瓜二つというほどではない。
「さて、と。何して遊ぶの?」
「う~ん特に決めてない!とりあえずレイを見つけてからだなって!」
「そ、そうなんだ...」
まだまだ幼いのだから何か計画を立ててから動くなんてことは出来なくて当たり前だ。
元大人の俺が何か楽しい遊びを提案しなくては!
とは言えシンの無尽蔵の体力に付き合うにはあまり激しくない遊びが望ましい。
「そうだ!冒険をしよう!」
「冒険!外に出るのか!?」
「いや、外には出ない」
「え~なんだよ~」
まだ見ぬ世界(屋敷の外)への期待を膨らませた瞬間に否定され
シンは不服そうな顔をする。
「まぁまぁ、外にはいけないけど今日は屋敷のまだ行ったことない場所へ行こう!
しかも3人パーティで!」
「おぉ~!!未知の世界!新たなる仲間!」
(どこで覚えてるんだその言葉は...俺かソダの影響かな...?)
3年間この屋敷で過ごしてきたけれど、まだまだ行ったことのない場所も多い。
理由は危ないからとのこと。
当然である。
だが俺とシンも成長したし、誰かの付き添いがあれば許可が出るだろう。
「ということでまずは仲間探しをします!」
「よ~し行くぞぉ!!」
シンも楽しそうで何よりだ。
ーーーーーーーーーーーーーー
コンコンコンコン
母親の部屋をノックする。
「はい、何用でしょうか?あら、レイ様にシン様、どうなさいましたか?」
しかし顔を出したのはメイドであった。
「あ、実はお母様にお話しがあって。もしかしてお母様いない?」
「はい、本日はレイ様とシン様のご紹介を兼ねたパーティーや晩餐会についての
打ち合わせをしております。
何か急ぎのお話であればお取次ぎ致しますが。」
「いや大丈夫!一緒に遊んでもらおうとしただけだから!
次の仲間探しに行こうぜレイ!」
「あらあら、うふふ...それでは奥様が戻られましたら
レイ様とシン様がいらっしゃたことをお伝えしますね」
「あ、ありがとうございます...」
微笑ましくされるとちょっと気恥ずかしいものがあるな。
今は子どもだから親に遊んでもらうのは別におかしいことではないんだから
堂々としてればいいよな...!
...今、俺とシンの紹介を兼ねたパーティとか言ったか?
「なぁ、レイ!次は誰を誘うんだ?」
「あ、あぁ...どうしようかな、みんな働いてるし...
お母様なら確実だと思ったんだけど...」
「えぇ~!じゃあいつも通り2人で行くか?」
「いや、もう1人だけ確実に来てくれる人がいるんだけど...」
「?」
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「この私めがレイ様、シン様と共に冒険へ...?!
ハァッ...!!いつかはお二人と世界を旅してみたいと夢に見ておりましたが
まさかここまで早く夢叶うとは!!」
皆さんお察しの通りソダである。
このテンションのソダとずっと一緒に回るのは気疲れしそうなので
誘うのをためらっていたのだ。
「この私、不肖ソダが命に代えてもお二人を守ってみせます!!」
「流石レイ!!ソダがいればどんな場所にでも行けるな!!」
「いや敷地からは出ないから」
このノリである。
ソダの反応が遊び盛りであるシンの心に響き
シンのテンションが上がり
それを見てソダが...と相乗して騒がしくなっていくのだ。
「ソ、ソダ様、まだ見回りの業務が残っておりますので...!」
「何を言うか!我々が将来仕えることになるレイ様とシン様直々の命であるぞ!!
これに応えずして何が臣下か!!」
「ですが、そのレイ様とシン様の警護についての...」
「えぇい!!そんなものはこの世界を股にかける冒険が終わってからやればよいではないか!!」
「よく言った!よく言ったぞソダ!!」
「いや、だから敷地は出ないしお仕事はちゃんとしような。
シンも調子に乗らせるようなこと言わない。」
言い合いはその後も続いたものの
ソダが業務を本日中に終わらせることが出来る時間までに
冒険を切り上げるというところに落ち着いた。
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「それではレイ様、シン様、今回の冒険の目的地はどちらですかな?」
「ん~行ったことない場所とかに行きたいなって」
「そうそう!なんか俺とかレイが知らないような秘密の場所とかねぇの?」
「ふむ...それでは...そろそろ見てもらっても良いのかもしれませんね
ガロア様もヒカリ様も、お二人が興味を持つのなら見せても良いと
そうおっしゃていましたし...いずれ知ることになりますし...」
そんな大それたものがあるのか。
想像ではマジックアイテムが保管してある場所とか
訓練場みたいな場所はあるのかなぐらいのつもりだったんだが...
そう、普段はメイドや執事、厨房の人たちや庭師さんたちしか目にすることはなく
ソダや本でしか異世界らしいことを実感できるものはないのである。
(あ、あるのか...?何かは分からないけど異世界らしい何かがあるのか?!)
先ほどシンを落ち着けていた俺もまさかの展開に心を躍らせていた。
「それでは参りましょうか、付いてきてください」
「おーっ!!」
そうしてソダは俺とシンを連れて門扉の方まで歩いていく。
「ソダ、どこに行くんだ?敷地からは出ないって約束だぞ」
「えぇ、分かっておりますよレイ様。敷地からは出ませんとも」
あれだろうか、門から出てもここら一帯は私有地だからみたいな
そんな話なのだろうか。
「ソダ様本日はどうなさ...レイ様にシン様?!
本日こちらまでいらっしゃるという報告はありませんでしたが...!」
「すまないな、お二人がこの敷地内のことを知りたいとお望みになられたので
私がお連れしたのだ。」
「か、かしこまりました!皆にもお伝えしますので少々お時間をいただけたらと...!」
「うむ、移動用の馬車も手配しておいてくれ。」
「はい!!」
なんだろうか、とんでもなく大事になっている気がするのだが...
身分が高い家なのだとは思っていたが、
歩いて回ろうとするだけでここまでの騒ぎになるほどなのか?!
「シ、シン、やっぱり今日はやめておかないか?
せめてお母様とかお父様がいる時にした方が...」
「えぇ~!ここまで来てそれはないだろレイ!!」
「そ、そうかもしれないけど、ほら許可とか!門の外に行くとか言ってないし!」
「ご安心を、レイ様。先ほども申し上げましたが、
レイ様とシン様が興味を持つことがあれば見せてやってほしいと
そう申しつけられておりますから。」
心の準備が出来ていなかったので言い訳を並べていたが
自ら言い出したことでもあるし、特段問題も無いのであれば
逃げ道はもうないのだろう。
覚悟を決めよう。
そう、悪いことなどはしていないのだから。
「お待たせいたしました!!それでは門をお開けします!!」
「さぁ、レイ様、シン様!ご覧ください!!
ここがお二人の住まう場所の真の姿でございます!!」
ソダに言われて目にしたその光景は城下町を彷彿とさせるものだった。
そしてそこには━━━
大量のスケルトンや獣人が膝を折り、頭を垂れていた。
〈レイとシンの一言〉
「いや...なにこれ...?魔界...?」
「レイってたまに口調変わるよな」




