第01話 その出会いは衝撃で
ここはどこだろうか。
真っ暗で何も見えない。
しかし妙に落ち着く。
「~~~~~~~~」
なんだか周囲が騒がしい気がする。
(あれ?俺って...)
徐々に意識が覚醒していく。
(そうだ、確か刃物を持った男にめちゃくちゃ刺されて!)
(俺、生きてるのか?)
(声...は出せないか...)
(目は開いてるのか?何も見えないが...)
(動けは...いや窮屈で動けなさそうだ...)
色々と試してみたが何も上手くいかなかった。
だが、ここまでしっかりと思考でき
身体を動かそうとすることもできる。
ということはあれだけ刺されはしたものの生きてはいそうである。
(まさか生きているとは、自分でも驚く程の生命力だ...!)
(だけど...)
落ち着いて状況を整理してみる。
声は出せず、目も開けているか分からない。
スペースが無くて動けないが、体は動かせそうだ。
上手く聞き取れないが周囲の会話?も聞こえている。
それに何だかここは暖かい気もする。
(━━━もしかして火葬場?!)
(うおぉぉぉぉぉ!!!せっかく助かったのに燃やされてたまるかあぁぁぁぁぁ!!!)
などと考えながら身体をどうにか動かせないかともがいていると
目を刺すような強烈な光に襲われると同時に浮遊感を感じた。
(な、なんだ?!いったい何が起きているんだ?!)
「~~~~~~~~~~!」
「~~~~~~」
「~~~~~~~~~~~~~~!!」
周囲の騒めきがより一層大きく聞こえるようになった。
しかしいまだに何と言っているかは聞き取ることはできない。
それに視界もぼやけているし息苦しさも感じる。
だが、命を落としていたかもしれない程に刺されていたのだ。
それぐらいの後遺症は残っていても仕方ないだろう。
『生きている』
そう確信できただけで充分だ。
(これからリハビリとか大変だろうなぁ...)
などと呑気なことを考えていると
「おぎゃあぁぁぁぁぁ!!あぁぁぁぁ~~~!!」
なぜか赤ん坊の泣き声が聞こえた。
ーーーーーーー
どうやら赤ん坊になってしまったらしい、と理解したのは
時が流れて約1か月後のことだった。
始めの内はぼんやりと光を認識できるぐらいだったのだが
日を重ねるごとに視界が明瞭になっていき、様々なものを認識できるようになった。
そんな中、人に抱き上げられ後頭部を支えてもらったことによって
初めて見た自分の身体はまさしく赤ん坊のそれだった。
最初は夢だと思いもしたが、
何度眠りから目覚めても元の姿に戻ることはなく
これは現実なのだとその時ようやく受け入れることが出来たのだ。
いわゆる生まれ変わりというやつなのだと。
まさか『あの頃からやりなおせたら』という妄想が叶ってしまうとは...
しかし受け入れてからは早かった。
前世?の時からやり直せたらと常々思っていたのだから、
そのチャンスが訪れたとなればものにしないわけにはいかない。
(この人生では勉強も運動も積極的に取り組んで、良い職業について幸せな家庭を築いて...!)
大金持ちになるだとか、世界に羽ばたくアスリートだとか、
超有名な芸能人など贅沢は望まない。
ありきたりで普通な幸せでいい。
ただその普通の幸せすら努力しなければ手に入らないのだと、
俺は前世の短い人生で学んだのだ。
(まぁ、とりあえずは言語学習からか...)
何を隠そう、周りの人たちが話していた内容が一切理解できないのだ。
日本ではない別の国なのは確定している。
そしておそらく英語圏でもなさそうなのである。
英語に明るいわけではないが、ベイビー、マミー、ダディ、ミルクとか
何か子育てに関係ありそうな単語すら聞こえてこないのだ。
(どこの国なんだろうか...本当に聞きなじみのない言語なんだよなぁ...)
一念発起したものの言語の壁にぶつかってしまうとは。
しかしそれで諦めるということはしない。
この人生では充実した楽しい幸せな人生を送るのだと
そう決意したのだから!
ガチャ...
決意を新たにしていると部屋のドアが開く音がした。
「~~~~~~~」
誰かが何かを言いながら部屋に入ってきているようだ。
誰かと話をするには随分小声の様な気もするが...
(ん?というか聞いたことのない声じゃないか?)
一応両親であろう人の声はずっと聞いていたので
聞き分けることぐらいはできる。
となると両親の親族か誰かだろうか?
「~~~~~~~!!」
「おんぎゃああああぁぁぁぁぁ~~~~~!!!!!!!!!」
何かを言いながらのぞき込んできたその顔に思わず俺は大絶叫した。
その人の、いや人ではないソイツの顔は真っ黒な骨だった。
〈主人公の一言〉
「今、冷静に思い返すと病院への搬送や葬儀や通夜を経てからの火葬だから、
どこかのタイミングで必ず気づかれるはずだよな...
パニくって恥ずかしいところを見せてしまった...」




