表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地仙譚~百年を生きる仙人は現代で怪異を祓う~  作者: taka
第13章 見られている夜
PR
83/132

噂の温度

 朝の教室は、いつも通りだった。


 席に着く。

 鞄を置く。

 窓の外では、校庭に人が集まり始めている。


 昨夜のことは、夢みたいに遠い。


 でも、身体のどこかに、まだ残っている。


「ねえ、聞いた?」


 前の席から、ひなたの声がした。


「何を?」


「◯◯公園の近く。

 最近、体調崩す人多いんだって」


 私は、ペンを止めた。


「ニュースにはなってないけどさ」


 ひなたは、軽い口調のまま続ける。


「倒れたとか、気分悪くなったとか。

 原因分かんないらしいよ」


 騒ぐほどの話じゃない。


 だからこそ、教室ではすぐに別の話題に流れていく。


 私は、黙ってノートを見ていた。


 昨夜、地図で見た場所。


 紙兵が戻ってきた方向。


 見鬼として感じた、言葉にならない違和感。


 全部が、同じ一点に重なる。


「……そうなんだ」


 それだけ言うと、ひなたは気にせず笑った。


「まあ、噂だしね」


 そう。


 噂だ。


 今のところは。


 チャイムが鳴り、授業が始まる。


 宝貝は、沈黙している。


 危険は、まだ形になっていない。


 でも。


 昨夜の“静けさ”が、確実に、こちら側に滲み出てきている。


 私は、黒板を見る。


 いつもと同じ一日。


 そのはずなのに、世界の端が、少しだけ歪んで見えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ