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余白
夜になっても、違和感は消えなかった。
何かが起きたわけじゃない。
誰かに、何かを言われたわけでもない。
それでも、世界の配置が、ほんの少しだけずれたまま戻らない。
清磬は、今日もこちらを見なかった。
恒一も、何も言わなかった。
だから、何も変わっていない――
そう言ってしまえば、それまでのはずなのに。
穂乃香は、布団の中で目を閉じる。
闇の中。
音のないはずの場所で、鳴らなかった“余韻”だけが、静かに残っていた。
それが何なのか、まだ分からない。
分かってしまうには、少し早い。
ただ。
明日も、きっと同じ一日が来る。
同じ制服を着て、同じ教室に行って、同じ言葉を交わす。
――それでも。
同じ形では、いられない。
その予感だけが、夜の底で、ゆっくりと沈んでいった。




