評価の更新
報告は、記録として届いた。
映像はない。
音声もない。
ただ、結果だけが残る。
「……一箇所、消えた」
誰かが言う。
それは確認であって、驚きではない。
「予定より早いな」
「切り捨てた場所だ」
淡々とした応答。
あの場は、もともと長く使う前提ではなかった。
練習用。
反応を見るための場所。
失われても、問題はない。
――はずだった。
「下が捕まったか?」
「可能性はある」
「だが、回収は不要だ」
即座に結論が出る。
あの駒は、最初から情報価値が低い。
使い潰す前提で渡した道具。
教えたのは、使い方だけ。
壊れたなら、それまで。
「処理が、早い」
誰かが、そう評した。
それは、評価だった。
「一人ではないな」
「少なくとも、二」
間が空く。
数を増やす必要はない。
配置を変えるだけでいい。
「観測対象に昇格か?」
「まだ早い」
即否定。
「だが、記録は残す」
「動きが速すぎる」
仙人が二人、動いている。
それ自体は、珍しくない。
だが。
「下を切った後、即座に“整理”された」
「迷いがない」
「……なるほど」
評価が、更新される。
「次は、同じ深度では試せないな」
「一段、上げる」
言葉は短い。
議論は、ない。
感情も、ない。
「場は、別に用意する」
「下は、もう少し選別する」
「使い捨ては変わらない」
変わったのは、“想定”だけだ。
「二人いる」
それが、今回得られた唯一の情報。
「厄介ではない」
「だが、無視もしない」
それで十分だった。
記録は、静かに閉じられる。
一箇所が消えたことは、すでに過去だ。
混在は、先に進む。
いつも通りに。




