ジョンさんのお願い
今回もトミヤ視点の回です。
そして、エヴァンさんの事後報告が終わりかけた頃、意外な人物が、手を上げた。
「あの…エヴァンさんの話しが終わったようなので、ボクから話したいことがあります。」
そう名前のよく分からない、先程チラッと見た人が言った。
エヴァンさんは、どうぞという感じで彼の目を見て頷いた。
全ての人種を混ぜた様な男性は立ち上がり、やはり特徴がない声で話し出す。
「まず、知らない方もいると思うので、自己紹介をします。
ボクはJohn A.Smith(ジョン エー スミス)と言います。
未来人で、ここより科学技術が発達した別の未来の地球から来ました。」
えっ未来人?さらっと未来人がいた。
本当に言われないと分からない。
彼は続けた。
「実はこちらの世界へ、ある作曲家の楽譜を得るために来ました。
捜索はここにいる皆さんや、ルイさんのおかげで順調に進んで、それを所有している人と会うことが出来たんです。
でも、その方がクセの強い人で、楽譜を見せる条件として一から素人と一緒にバンドを組んで、ボクの自作曲を聴かせて欲しい。
と言われました。」
困った様な顔でそうジョンさんが続けた。
ん?素人、何で?
普通にプロを呼ぶなりすればいいのに。
所有者の意図が分からない。
「最初はからかわれているか、ジョークかなと思ったんですが、その人が言うには
頑張ってる感じが足らない。
と言っていて、何度も頼んでも要求を変えてくれないんです。
なので、音楽の素人、特に楽譜も読めませんぐらいの方で協力してくれる人を探しています。」
なんとなく、ジョンさんと目が合う…え、もしかして私に聞いてる?
たしかに地球まで来る宇宙人は、人間より能力が高い者が多いので楽譜なんてすぐ読めてしまうだろう。今時のAIだって読もうと思ったら読めそうだ。
とすると私に聞くのが流れなのかもしれない。
私は返事をしてみることにした。
「あの、トミヤと言います。
一応ピアノはポップスを弾きたくて習ってたんですが、ト音記号とかシャープとかフラットとかから全然分からないです。
今、体にチップを入れてますが、入れた時にまた何度か勉強したんですけど、やはり全然分かりませんでした。」
それを聞いてジョンさんの目がキラキラしていた。
「素晴らしい、あなたみたいな人を探してたんです。一緒にバンドを組んでもらえませんか?」
え、えー?
出来ないからバンド組まない?と誘われることなんてある?
それは2050年、今、ここにあった。




