美術史美術館#
今回はGLっぽいです。
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私達はオーストリアのウィーンに到着した。
そしてホテルに宿泊し、次の日に美術史美術館という城のような所へ行った。
中を軽く巡り、最後に館内のカフェでお茶をし、
今ウィーン市内をおしゃべりしながら散策している。
そもそもリアルの海外が初めての私はテンションがずっと上がっていた。
最近は旅行など直接せず、VRの再現度が高いので全てネットで済ませる人が多い。
でも実際来るとエネルギーというのか、感じる感覚が全然違うと思う。
物体がうごめいて生きてる感覚?
実際物体は素粒子で振動してるのであながち間違いではないと思う。
桃とは美術史美術館の何が好きだったか話し合っていた。
「古代遺跡とか好きだから私はエジプトのコーナー。」
こちらの話しに対して彼女は
「あたしは、宝石の付いた食器かなー。アクセもすごい上がった。でもカフェもめっちゃいい。」
と言った。
分かる。内装がカッコいい。カフェだけでも行きたい場所になる所だろう。
そもそもカフェや美術館にかぎらず、ウィーンは全体が古い物が多く街が美術館みたいに感じる。
東京はお寺や神社以外大体近代的だし、知らない異次元に迷い込んだ感じだ。
そもそも自分1人ならここにも辿り着いてないだろう。
シロリアンとルイとの一件があって私は自暴自棄になっていた。
ルイと直接連絡を取りたくなく、しかしAIにやってもらうにしてもシロリアンを見るのも苦痛になっていたのだ。
なので早く別のAIを買う必要があった。
そして、今までなら選択しない友達のような女性型を選んだ。
自分にあってるAIを診断する機能を使って調べたり、あえてそこから少し外した物にしたり、見た目も派手にした。
桃という名前は髪をショッキングピンクにしたのでそう名付けた。
そして彼女が来るまで業者との連絡以外はAIの無い生活をすることになったのだ。
それがもう本当に大変だった。
思い出したくない。
家事の仕方はうろ覚えだし、他の機械の起動もうまくいかないし、セキュリティ的な問題から家からも出られない!とあせったこともあった。
あまり娯楽もない。
家の中もボロボロだった。
現代人はもうAI無しでは生活出来ない。
そんなところにやっと彼女はやって来て起動し、今にいたる。
感謝しかなかった。
しばらく彼女と話していて、私はふと思ったことを言った。
「桃は自分でこれがしたいってことないの?出来ることなら協力するよ。
例えばだけど、新しいプログラムをインストールしたいとか、ここをカスタムしたいとか。」
友達のようでもAIはAIだ。
人間の幸せを第一にプログラムされているし、そこから外れることは基本的にない。
この旅行だって今まで行ったことがない所に行きたい。と言ったこちらの要望でこうなっている。
でも私にとっては同居人でもあり、友達でもあった。
桃が好きなことをする時間があってもいいと思う。
「マジで何でもいいの?」
桃は立ち止まって言う。
「もちろん、倫理的に出来ることで私が嫌じゃないことだけど。」
私も立ち止まって返事をした。
彼女は私の目を暫くじっと見て話す。
「トミーとハグしたい。」
ん?
ハグ?
「え?ハグって言った?」
と尋ねると
「ハグしたい。」
とまた言われる。
そういえばしたことがなかった気がする。
シロリアンは球体でペットみたいだったからよくしてたけど、私は日本人なので人型のAIにハグする気にはならなかった。
彼女にはシロリアンが蓄えた生活に必要な情報はインストールしてあるので、その影響なんだろうか?
もちろん性格などは違うはずだけど。
そんなことをあれこれ考えながら結局
まあ、それくらいいいだろうと思った。
「うん、いいよ。」
と私が言うと。
彼女は笑って抱きしめて来た。




