あるシリウス星人の述懐(じゅっかい)
いつも読んで下さってありがとうございます。
今回から一人称がルイ視点になります。
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私はヤコマと新大阪で別れてから何もしたくなくなった。
ただ本体の龍の姿になって、ひたすら地球の空を飛び続けている。
澄み渡る青空の中
雷が轟く雲の中
星空が届きそうな紺色の中
こんなに地球は美しいのに、心の中はぐちゃぐちゃしたドブのようだった。
彼女は何にも悪くないのだ。
彼女はプレアデス星人が好きな人間の女性なだけだ。
そこに暇潰しで入り込んだ私が悪い。
さらに本当の自分を好きになって欲しくて会いに行ったり、不測の自体だが、シロリアンとルイが関係あると感づかれてしまった。
今は繋がっていないが5年の付き合いだ。
それによりヤコマは怒りと、やるせなさと、彼女自身を攻めているんだろうと想像出来た。
山間部の夕暮れの中を回転して飛ぶ。
ゴアアアアアーーーーーーーーンンンンンン
ゴアアアアアーーーーーーーーンンンンンン
自分の雄叫びが山びこになる。
人は龍を神と崇めたり、化け物と恐れたりした。
本当は自分はただの宇宙人だ。
人間より能力があっても万能でもないし、こうやって恋もするし振られたりもする。
ぐんぐん成層圏まで進む。
ヤコマへの謝罪と手続きが終わったらシリウスの母船に帰ろうかとも思った。
ここにいても苦しいだけだ。
そんな気持ちで月と地球の間の宇宙空間に出た。
地球は自分が来た頃より大分自然環境もよくなり、技術も発達した。
そして定員はあるが、月や火星に住むことも当たり前になったし、少数ながら宇宙船で、もっと遠い星へ移住も進んでいる。
地球は宇宙人達の実験場だ。
それは動物や植物を改良したり、
自分達の遺伝子を投入して人間を作ったり、
人間として転生し、魂をブラッシュアップさせるという意味もある。
そしてそれにより地球自体をよりよくすることも含んでいる。
でもそうやってぐるぐる生まれて行動して、傷つけて傷つけられて何になるんだろう?
…まあ考えてもしょうがないか。
私はシロリアンという名前が好きだった。
白くて触手のような腕があって、かわいい宇宙人みたいだから。と彼女は言っていた。
その名前の通り大切にされたし、そう振る舞っていた。
ヤコマは多分、自分が思っているよりさらにカンがいい。
表面意識では気づいてないが、深層心理では全て気づいてる感じというのだろうか。
第六感とは意識しなければ気のせいで終わってしまうものだ。
この眼下に見える青い緑の地球。
丸いAIだった私のボディーと同じ形。
そんな愛しく、むなしく、苦しい、幸せな、切ない全てを詰め込んだ世界がここにある。




