その12
リジーは歩き続け、ようやくとある一角に喫茶店を見つけた。
可愛らしい看板も立っている。
「これでなんとか休憩できそうね。よかったわ。」
手持ちもそれほど多くない。
軽くコーヒーなら飲めるかなって程度かも…。
カランカラ〜ン。
小さな音色と共にドアを開けてリジーは店内へと足を運んだ。
そこには客はほとんどおらず、1人、2人かな?いる程度だった。
静かだった…。
その静けさは不気味に思えた。
何故だろう。
ついさっきまであれほどの人混みと雑音を聞いてきたからだろうか?
とりあえずウエイトレスを呼び、メニューの中で一番安いコーヒーを注文した。
今持っているものを確認する。と言っても携帯と財布くらいしか持っていない。
財布にはカードもあったが、使う事はやめておいたほうがいいだろう。
あしがつくと怖い。
店の時計を見ると午後3時を回っていた。
家から抜け出したのが午前9時。もう6時間も逃げてる事になる。
トムのマンションまで後30分くらいかなぁ〜。あ〜〜足が痛い。
トムを呼ぼうかと思ったが、長くここにいるのは気が引けた。飲み物一杯で何時間もいるのは目立つ気がした。
時間をかけゆっくりと飲み干すとため息をつきながら立ち上がった。
そして店内から出口に向かうと入り口に知らない男が立っていてこちらを見ている気がした。
もしかしてここ…見つかったの?
リジーは真っ青になりながらも店の奥へと歩いていく。トイレに向かったのだ。そこからなら出口があるかもしれないと考えてのことだったが、ビンゴだった。
会計は済ませてさっとトイレへと向かった。
トイレの横には外に出るドアがあった。
だから様子を見てさっとすべり出るように外に出た。
早足で逃げる。
人混みの中をかき分けて。
後ろを振り返ると店の出入り口に男が2人立っていた。
全身真っ黒なスーツを着ている。
あまり見ない格好だ。
その手の怖い人なのかもと真っ青になったが、相手には見つかっていないことを確認する為にこっそりと近づいた。
相手からは見えない場所を見つけるとその場に滑り込むように入った。
声はあまり聞こえてこないが、女を1人探していることはわかった。多分私のことだろう。
そおっと後ろに下がった。
ものにぶつからないように気をつけて…。
そしてさっと走り出した。
後ろは振り返らなかった。
一方のシュナイダーは焦っていた。
リジーからの電話は公衆電話からだった。
携帯を持っているはずなのにである。
何かあったのか?
仲間に見に行かせたが、もぬけの殻だったらしい。
ベランダの非常口が開いていたと言っていた。そこから逃げたか?何故?
一体何があったと言うのだ?
イヴァンとも連絡がつかない。
あいつ…何かしたのか?




