63 作動した罠、森のくまさん決着。
ラーシャンはビックベアーに跨ったまま、目隠しの余った蔦で編んだ紐を手綱のように持って、仕掛けた罠の方へと誘導していく。
「ほらほら、此方ですわ。そちらに行ってはいけませんよ。」
ラーシャンは貴族令嬢だ。
嗜みとしてしっかりと乗馬を習っている。
流石に、馬と言うには、毛深すぎるし、大きすぎるがそれでもしっかりと誘導は出来た。
「もう少しですわ、がんばってくださいね。」
しっかり、手綱を握り、ラーシャンを振り落とそうと暴れる巨体の上で、見事なバランスを見せる。
ドンドンと走らせ、罠の張った場所まで、もう少しという所までやってきた。
「きゃ、ちょ、待って、待ちなさい、このぉ!!」
しかし、突然急ブレーキを掛けて、もう少しと油断していたラーシャンを振り落とそうとする。
その場でグルグル回りだした巨体に、遠心力が加わり、片手を思わず離してしまったラーシャンは、体が宙に投げ出されたまま、何とか片手で手綱を握り続けた。
文句をビックベアーに言うも聞くわけがない。
遂にはキレて根性で体勢を戻すラーシャン。
「あと、一歩ぉっ!!」
叫びつつ、体重を後ろに掛ける。
ビックベアーは咆哮し、思わず前足を上げて沿ってしまい、両足同時に地面に着いた。
罠の殆どはシャランが仕組んだものだが、小物や最後の仕掛けと呼べるかは微妙だが、一番の肝の設置や、罠を隠すのはラーシャンがやっていた。
当然、罠の位置はラーシャンしか知らない。
そのラーシャンが、罠を仕掛けたところにビックベアーを誘導した。
罠は当然作動する。
その罠が作動した瞬間、ラーシャンはビックベアーから飛び降り、ゴロゴロと転がって止まった。
罠の仕掛けた位置に前足を振り下ろしたビックベアーは、後ろで何かが崩れる音がした。
一種の落とし穴が作動したのだ。
ビックベアーの後方に設置された大岩が、落ち葉等で隠された大穴に落ちたのだ。
木々に巻きつていると思わせた蔦の一部を巻き込んだうえで。
その蔦は、木々に這わされており、大岩が大穴に押し込んだ事で連動して引っ張っていく。
その終着点は、ちょうどビックベアーが前足を振り下ろした場所であり、その場所に網の目状に編まれた蔦が上へと引っ張られた。
ビックベアーの巨体を巻き添えにして。
そしてビックベアーはその巨体に見合う体重を有する。
当然、真直ぐ真下に落ちてくる。
しかし、その真下は蔦がビックベアーを巻き上げたのと同時にあるものの存在を地面に権現させた。
蔦の引っ張る力で、微妙に設置点を変えて、地面に出てくるようにした丸太だ。
その上に、重力を味方に付けてビックベアーが落ちてきた。
ビックベアーの頑丈な肉体と言えど、自身の体重を味方に付けた衝撃までは受け切れず、体内から人型の物が背中側から跳び出したのを皮切りに、現存限界値を超えて魔力となって霧散していった。
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