58 シャランの戦闘、黒幕の存在。
ギャリンッと金属同士を擦り合せた音が、静寂に満ちた魔の森の中に響いた。木々が一直線に薙倒され、少々歪だが、戦闘を行う広場が形成されていた。
そんな中、戦いを行う一人と一匹。
シャランは目の前の巨大なビックベアー、熊の魔獣に向かって己の大剣を振り下ろす。
再び、ギャリンッと金属同士を擦り合せた不快な音が響いた。
ビックベアーの爪がシャランの大剣を弾こうとして、シャランの思わぬ怪力に逆に押されている、結果的にそれがシャランの大剣を反らす事に繋がっていた。
「ふむ、それなりにはヤル様だが、それまでだな。」
常に冷静にビックベアーの戦力を分析していたシャランは、一つ呟き、身体強化の魔法のレベルを一つ上げた。
瞬間、シャランの姿が消える。
ビックベアーは驚き、周りを見渡すもシャランの姿はなかった。
「うぉおおおおおおおおお!!」
シャランの咆哮が聞こえた。
真上から、振り上げた大剣と一緒に落ちてきている。
思わずビックベアーが見上げた。
頭を真上に向ける、それはシャランに弱点を晒し近づける結果となり、その脳天に無骨な鉄の大剣が重力を味方に付けて撃ち込まれたのだった。
轟音と共に倒れる巨体。
ピクリとも動かなくなったビックベアーを確認した後、シャランはラーシャンの方へと歩いていくのだった。
「お姉様っ!!」
だが、ラーシャンにシャランは、飛びつかれるようにして押し倒される。
歓迎と言う意味でも、ましてや安心したという意味でもなかった。
ラーシャンは必死の形相をしていた。
押し倒されたシャランが視界に、銀色の線が走るのを見る。銀色の線が走った瞬間、ラーシャンの髪の先が宙に舞うのを見た。
「なっ、なに!」
瞬時に起き上がったシャランが見たものは、白目を向いているが、しっかりと四肢で立つビックベアーの姿だった。
確かにシャランは倒したのを確認している。
実際目の前のビックベアーには意識がないのは、見るだけで判った。
「何者かに操られているのかっ!」
今までの経験から瞬時に解を叩きだすと、ビックベアーの攻撃を反らしつつラーシャンを逃がし、自身も後退する。
戦いはまだまだ続くようだ。
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