49 ラーシャンの冒険1。
「今日こそお姉様の悪行を暴きます。」
一人、部屋で堂々と宣言したラーシャンは、前々から用意していた一般庶民向けの服に袖を通した。
鏡を見る。
そこには、切れ目で童顔な美女が一人。年は16、7か。見事な金髪を結い上げて庶民の服を着て立っていた。
「…この様な安物の服ですら私の魅力を引き出してしまうなんて。」
思わずウットリとしてしまう。鏡に映った自分に見とれていた。
それから、髪をを一度ボサボサの状態にし、手櫛で軽く整えた。メイクを落として軽くだけ施す。
そして、服の上から練兵場からくすねてきた女物のレザーメイルを身に纏う。
「こんなものですか。おっとと、こんなものね。」
口調を直し、意気揚々窓から脱走した。
手には庭にあった武器を持って。
まずラーシャンは、義姉シャランが登録している冒険者ギルドに行くつもりだった。
しかし、基本的に外に出たことのないラーシャンは、中央広場まで来たところで何処に冒険者ギルドがあるのか知らない事に気付いた。
「…やばいわね。」
一歩目から躓いた。
そこで西側の大通りから歩いてきた、少年と青年の間に属するニコニコ笑顔の優しそうな人物に道を聞くことにした。
「すみません。」
「はい?」
「私は、此処に来たばっかりなのですが、冒険者ギルドが何処にあるのか知りませんか。」
「ああ、この道を真直ぐ行って、門の側の大きな建物ですよ。」
すぐに解決してしまった。
ラーシャンはその男にお礼を言い、男の来た西側の大通りを歩き出す。
そこで思い出した、先ほど道を尋ねた男は、義姉に見せられた少女の写真の人物に似ていなかったか。義姉の話では大国の現王だという話だったが。粗相とかなかっただろうか。
そんな心配ごとが頭の中を駆け巡る。
しかし、そんなことも、目の前に現れたレンガ作りの建物を見れば吹き飛んでしまった。
そう、ここから自分の野望がスタートするのだ。
少しだけ、わくわくした気持ちを抑え、ラーシャンは扉を開いた。
「冒険者ギルドは隣だよ。」
隣だった。
間違えて隣の建物の扉を開いていた。
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