48 好きと好きの違い、嫉妬と嫉妬の違い。
この世界には、大陸が幾つかある。その中で最も小さいのが、この国がある大陸だ。
隣国は逆に最も大きい大陸で、元々魔王が収める魔族の国だった。しかし、調査してみれば普通に人も住む。その上、残虐等と噂された魔王等何処にもいなかった。
いたのは、国民の事を第一に考える凄腕の王だけであった。
この時の王はまだメイズの父、ルートワンだったのだが、ルートワンの方針として国民を大事にしていたのだ。当然その方針はメイズにも受け継がれ、世界の国々から魔王という呼称は物語等の残虐な魔族の王から、魔導、魔法と科学の融合したものの国家の王という意味に変わった。後、メイズに代替わりするも、メイズ自身が国元を飛び出し、前王が国政を取っている。
しかし、メイズが国王であることは違いなかった。
その現王にシャランは相対する。
「…お見合い、ですか。」
「うむ、一件ぐらいは受けろと。」
「断ってもいいと言われたんですよね。」
「…笑顔が怖いぞ。」
シャランの言う通り、シャランがお見合いをするというとメイズの笑顔が極悪なものに変わる。
「私の事が好きなのか?」
「シャランさんの事は好きですよ。」
シャランはメイズに聞いてみるものの、メイズは純粋な笑顔でそう言い切った。
しかし、シャランの恋愛面での好きではなく、明らかに友情面での好きと言う意味で有る事が判るので、思わずカウンターテーブルに突っ伏してしまった。
だが、明らかにシャランのお見合い話に嫉妬している事は判る。
まだ恋愛感情まで至っていないのだろう。
自分の大切な玩具が別の人に取られる。その程度の認識なのだろう。
「かわいいなぁ。」
「…はい?」
メイズがシャランの呟きに反応するが、聞き取れなかったようで聞き返してくる。
シャランは何でもないと、左右に手を振りながら、何故義妹とは違うのだろう。と考えていた。
義妹のラーシャンの嫉妬にも気付いている。しかし、目の前のメイズが嫉妬してくれる方が何倍も嬉しかったのだ。
「ああ、そう言う事か。」
「?…あっ、いらっしゃいませ。」
シャランが一人納得していると、客が入ってきたようで首をかかげていたメイズは其方の対応に行ってしまった。
メイズは自分を王族として見ていない。メイズ自身も王族というか現王だが、ということもあるかもしれないが、あれはメイズの純粋性からくるものだ。
シャランをシャランとして見ているからだ。だから、この場所に安心しているのか。と納得する。
「ふむ、メイズが相手になってくれないだろうか。」
断っても良いし、何より見栄だけの為なのだ。相手は誰でもいいのだし、そう思いながらシャランはお見合い写真の山の一部を見るのだった。
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