46 人身御供、復興支援。
以外に長くなった。思わぬ誤算である。なんつって。次から新しい章です。予定ではギャグ中心になるはず。プロットでは。でも勝手に話が変わっていくんだよなぁ。
それでは次章も宜しくお願いします。
メイズ達を、観測所の中に引っ張り入れたのはルートフォーであった。
ルートワンは、騎士達と共に奥に寝かされており、寝息は規則正しい。
メイズ達の心配で倒れたとの事だった。
外が騒がしいので、扉横の窓から外を見ると、エンジがこっちに向かってくるから引っ張り入れたとの事だった。
メイズ達が起きるまでに、外の処理をするといって、観測所の地下へと降りて行ったのだった。
「うっ、うむ、わしは…。」
「気付いたかおっさん。」
「エンジ君?…っメイズはっ!」
ルートワンは目を覚まし、エンジの姿を認めた後、メイズの安否を聞いてくる。
「此処に、寝てる。魔力切れでな。」
エンジの言葉の通り、メイズはエンジの横で寝こけていた。気楽な寝顔で。
ホッとするルートワンは、本来居るはずの人物の行方を聞いてみた。
「ああ、なんか外の処理をするって、地下に。」
「まずいっ!」
ルートフォーの行方を聞いたルートワンは、慌てて地下に向かった。
「うん?」
ルートフォーは上の階からドタバタと降りてくる音がする。
ああ、兄貴にばれたのかと、予測はたてられた。
「ルートフォーっ!」
「よう兄貴。」
問題はなかった。準備は全て終わったのだから。
「冷凍魔法意弾を使うつもりかっ!!」
「それ以外に何があるよ。」
外のマグマはメイズの凶悪と評していい程の魔力量で完全に暴走状態になっている。
それを鎮めるのは、この冷凍魔法弾しかなかった。
この冷凍魔法弾は込められた魔力に反応した、吸性特性のマグマに向かって打ち出され、マグマの熱を奪ってしまう。同じ魔力で作られたものなので、魔力で作られたマグマにも効果を及ばすのだ。
その上、魔力なので吸性特性で内部まで冷やす効果が発揮され、効率がいい。
ただし、この冷凍魔法弾の魔力の込め方に問題があるのだ。
冷凍魔法弾大きさは2メートル越えの巨大なものだが、魔力タンクが殆どで、尖頭にのみ術式が書き込まれていた。
魔力を吸収しようとすると、尖頭の術式が反応し、魔力タンクの魔力を使って魔法を行使する。そう言う仕組みなのだが、その魔力タンクが人身御供なのだ。
魔力タンクに入る魔族はその魔力が極端に大きい者が多い。
吸性の暴走を止める為なのだ。当然である。
そして今回の暴走はメイズの魔力が原因。当然それに見合った者を選ぶ必要があった。
「だが、お前では魔力が足りないぞ。」
「死体ではな。」
「まさかっ!」
普通なら亡くなった状態で入れられる魔力タンク。だが、今回の場合は生きたまま入るとのことだった。
確かにそれなら、魔力操作で、限界まで魔力を放出、圧縮できる。
メイズの巨大な魔力にも対抗できるのは先の戦闘で証明済みであった。
「やめろっ!身を引き裂かれる痛みだと、発狂しても仕方がないとっ!」
「それは机上の空論、創造だろ。」
確かにそんな事は初めてだが、それでも真面な事ではなかった。
「兄貴には勝てなかったからな。負け犬はこれでいいだろ。」
「…ナイーシャの事か。」
「…知ってたのか。」
ルートフォーは、近くの町で見た人間の少女に恋をした。
すでに、ルートワンの妃の一人であったのを知らずに。
まぁ、よくある話と言えば、その通りだったのだが、ルートフォーはこの事で復讐を考えて今に至る。今回の家族旅行は好機だと思った。なにせ都合の良いようにナイーシャは風邪でついてこなかったのだ。
「ふぅ、兄貴の為じゃねぇさ。」
「なんだと。」
「このままだと、マグマは地上まで行っちまう。」
今はまだいい。何せ魔力が大きい者が全てこの場所に居るのだから。非常食もあるから数月は余裕だ。しかし、その非常食が切れて、体力が無くなり、魔力も減少すれば当然マグマは魔力を求めて地上の方へ向かう。
人間の小さな魔力とはいえ、最後には襲われるだろう。対処が行える者がいないまま。
そんな彼女の為だという。
今、彼が人身御供としてマグマを抑え込めば、まだ小さなというか被害なしで抑えられる。
その後の復興まで行える人間まで残せることになる。
それが一番よかったのだ。
そう言って、魔力タンクに乗ってしまった。
「まっ、まてっ!」
「悪い、自動発射なんだ。じゃあな兄貴。」
ルートフォーは最後に綺麗な笑顔をしていたという。
後、ルートワンはこの火山に小さな祠を立てる。
復興支援すら出して。だが、そもそも被害がなかった。
ナイーシャが喜ぶように、ナイーシャの村に診療所を開いたり、服飾系の店に援助をしたりしたそうだ。
民からは不満がでなかった。魔族は強者主義なのである。
魔王が自分の金をどんな事に使ってもいいのだ。
ただ、ルートワンの誤算があった。
嬉しい誤算と悪い誤算。
メイズがその魔力に比例するような魔力制御を身に着けたのだった。その御蔭で再び魔王化することは無くなったのだ。
そして、他の部下にメイズが魔王化を起こしたことがばれたのだった。
魔王城は代替わりの騒動に巻き込まれていくことになるのである。だが、それはまたのお話に。
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