45 メイズの才能、花開く。
「…んで、これで上手く行くと思うか?」
「…何とかなるでしょ。」
今メイズはエンジに横抱きにされていた。いや、抱き上げるよう言ったのはメイズだが、まさかお姫様抱っこされるとは思ってなかった。
未来でシャランが知るとすぐ女装させようとしてくるだろう。
しかし、まだ幼いメイズは、抱き方よりも親友に軽々と抱き上げられる方がショックだった。
「うっし、行くぞ!」
「うん、頼んだ。」
観測所まではあと少し、エンジの足なら数秒もかからない。
しかし、今メイズを抱き上げており、時間はもう少しかかりそうだった。
エンジはメイズが物理防御魔法を解くと同時に走り出した。
当然、マグマは二人を覆い尽くそうとする。
瞬間、メイズの最後の魔力が吹き荒れマグマの吸性特性を無効化する。
さっきまでのメイズであれば、もう魔力を使い果たし、気絶してもおかしくはなかった。
しかし、メイズはまだ魔力を放出している。これは魔力制御の賜物だった。
メイズはエンジの魔力制御という言葉で、何時か見たランの魔力制御を思い出していた。
ランの魔力制御は凄く、本来漏れ出し体の周りを覆う魔力が、魔法行使の間だけ一切なくなったのだ。
それを真似して魔力を放出してみた所、魔力の減少が抑えられたのだ。
しかし、普段の身体強化程、強化できなかった。魔力量が減少している事を踏まえても、その恩恵は限りなく低かったのだ。
当然、エンジの足に付いてはいけない。そこで、エンジがメイズを抱き上げ、観測所まで走ることとなった。
「ドッワァァァアアアアアア…。」
「…叫ぶより急いで!」
エンジはメイズを信頼しているが、吸性特性のマグマに飛び込むのには勇気がいった。
エンジが飛び込んでも、吸性特性のマグマはその猛威を振るわなかった。
メイズがエンジが触れる瞬間のみ、方向を指定して魔力を放出し、魔力吸収の特性を打ち消していたからだ。
魔王化に続き、命の危機に瀕して今ここにメイズの才能が花開いていた。
会う人会う人、メイズの才能はその魔力量にあると思われがちだが、実はメイズは知識の吸収力こそ、凄かったのであったのだ。
魔力量の御蔭で一回で出来たと勘違いされた炎の魔法だが、実はランの魔法を見たおかげだったのだ。
今の魔力制御も、ランの魔力制御を見た御蔭だったし、ルートフォーの指先に魔力を集めて放つ魔法砲撃ですらもである。
あと一歩、そして観測所の扉に触れるという所で、遂にメイズの意識が切れた。
マグマはすぐ後ろにまで来ており、扉を開けるのが間に合うかどうかであった。
「ぬぅぉおおおおおおおおお!!」
エンジは少しでも早く扉に取り付ける様に足を動かそうとして気付いた。
「やべぇ、両手がメイズで塞がっているっ!」
馬鹿である。
それに気付いて声を上げた瞬間、マグマが二人に襲いかかった。
もう駄目だ!と思った時、突如扉が開いた。中から出てきた手に、二人は引っ張り込まれたのだった。
閉まった扉にマグマがぶつかったのだった。
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