40 魔力の暴走、魔王メイズ降臨。
メイズは一方的にルートフォーを甚振っていた。
「グガッ!」
何せ、全力で身体強化したうえで、防御魔法を行使しても、その上から全て破壊してくるのだ。
まるで無垢な子供が要らなくなった玩具をバラバラにするかのような、残虐な笑みを張り付けて。
「おっおい、おいメイズ、メイズどうしちまったんだよっ!!」
メイズの様子に、メイズに押され座り込んだままだったエンジが吠える。
メイズは、手に持ったボロボロのルートフォーを、その辺りに捨てて、エンジの方を向いた。
「くすくす、すっごく面白いんだ。エンジも一緒にやる?」
純粋な残虐さをぶつけてきた。
今までのメイズではなかった。
馬鹿みたいに純粋で、優しくて、何処かズレテいたメイズではなかった。今の様子はまるで『魔王』、それもルートワンの様な統治者としてではなく、物語に出てくるような残虐な魔王そのものであった。
「魔王化かっ!!」
ルートワンには今のメイズの変化に、一つだけ心当たりがあった。
『魔王化』と呼ばれるそれは、一種の魔力の暴走である。
魔王が、他者より巨大な魔力を扱えるのは、肉体がその魔力に耐えられる強靭さを持っているからだ。
メイズもまた、幼子でありながら肉体の強靭さは尋常ではなかった。
エンジという炎の精霊と、掴み合い、炎の精霊の奥義を受けて無事だったのは、なにも魔力が大きかったからじゃない。
あの時のエンジの魔力量は跳ね上がっており、メイズと対等であった。
しかし、メイズの肉体はその巨大な魔力を受ける受け皿があり、エンジにはなかったことが勝敗を分けていた。
『魔王化』というのは、魔力制御が一時的に跳ね上がることを言う。生み出された魔力が、普段は外に放出されている魔力が、制御され外に放出されなくなり、その受け皿を超えるのだ。炎の精霊の奥義と同じものだが、魔王という元から、他者を寄せ付けない巨大な魔力を有する種が、それを起こすと一種の興奮状態になり、残虐さが顔を出す。
生命の危機等に陥ったものが起こしやすいと言われているが、今回メイズは初めて傷を負った。そのことが引き金になったと思われる。普段から巨大な魔力によって守られているメイズが、いやメイズの肉体が生命の危機と考えたとしてもおかしくはない。
「どうすりゃいいだっ!」
「ある程度魔力を消費すれば元に戻ると思うが。」
メイズの肉体からは、普段凶悪に立ち上がっている魔力が感じられなかった。
高度な魔力制御が働いていると思われる。
この状態で魔力を消費させるのは難しいと思われた。
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