36 敵意持つ存在、火口にて。
18時に予約掲載を入れたと勘違いしてました。すみません。
頂上部、火口付近に建てられた物見塔の横から、火口に向かって桟橋が掛けられている。
その桟橋から火口を除く人影があった。
「うわぁ、ボコボコ言ってるよ。」
「熱くはねえな。表面温度は600°ぐらいだし。」
メイズと、エンジである。
もともと魔族は魔力によって肉体を形作っている。炎の精霊種たるエンジは言うに及ばず、ハーフのメイズですら、本体の周りは大量の魔力だ。
その魔力が、火口から吹き上がる黒煙や、硫黄などの毒になる物も、魔物にとっては空気と同じなのだ。
メイズは溶岩の躍動に感動し、エンジは自身が住まう村と比べ、温度が高く無い事に落胆する。
エンジの村は炎の精霊が住まう場所だけあって、常時温度が800°近くある。
600°程度なら、エンジにとっては冷たく感じる程であるのだ。
瞬間、ドーンッとマグマが吹き出した。ただ気泡が地下から上がってきただけだろう。しかし、その火口付近まで上がってきたマグマの迫力に、二人は感嘆していた。
「すっげぇ。」
「うん、まるでエンジが怒ってるみたいだ。」
「うおい、怒ったおれはこんなもんじゃないぞ。」
「おお、凄いね。どうなるの?」
「えっ、えっとだな。それは、もうものすごいんだよ。」
エンジの言葉に、メイズがずれた感想を返す。メイズの感想に何も考えずに反論し、純粋な瞳できっちりと返され、狼狽えてるエンジが誤魔化した。
「覗き込み過ぎて、落ちるなよ。燃えたぎる底なし沼だぞ。」
そんな二人に、遅れて登ってきた魔王、ルートワンは声を掛けるのであった。
「ぐっ、ルートフォー、何故貴様が、ここにいる。」
「ただの観光さ。」
火口の縁に指を掛け、何とか落ちずに済んでいる。
だが、目の前の存在がそれを許してくれそうもなかった。
残虐な笑みというのはこういうモノの事だろう。顔一杯に張り付け、ルートワンを見下ろす。
確かに居るかもしれないとは思ってはいた。登山中に微量の魔力を感じてはいたのだ。
しかし、微量であるという事で勘違いと判断したのは間違いであった。
まさか、魔力操作で限界まで漏れ出す魔力を絞っているとは考えなかったのだ。
目の前に居る、自身に匹敵する魔力を滾らせる、何処か似た風貌を持つ男。
弟がまさか、この場所に居るとは思わなかったのだ。
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