34 家族旅行、火山の山。
この話が終わったら、次章に移ります。あと6話位を予定中。
「なんとかしてしまったな。」
「ええ、メイズ様がお出かけで件の子供と仲良くなってくるとは。」
魔王城玉座の間、その玉座に腰掛け側に控えるクオイスに話しかける。
今さっきまで、メイズの護衛に付いていた騎士から報告を受けていたのだ。
魔王軍の精鋭すら軽く退けた炎の精霊の幼生体、名をエンジという。と友達になり、また遊ぶ約束をしていたと。
「…わしが心配する必要がなかったか。」
ポツリと呟いた、魔王の寂しそうな声色に、クオイスはフムと、手を顎に当て考える。そしてポンと手を打った。
「ならば、家族旅行でも計画すれば宜しいかと。件の炎の精霊も連れて。」
「……それだ、そういえば、わしは家族サービス何ぞしたことがなかったなぁ。」
魔王は、少し浮かれたように、予定を開けるため仕事に精を出すのだった。
後にメイズに面会した時、メイズに『オジさん、誰?』と言われ落ち込むのだった。
「なぁ、おっさん。本当に俺もよかったのかよ。」
今、エンジはメイズに紹介された、メイズの父親に、自分が居てよかったのかと聞く。
「ふっ、子供が遠慮等するな。なんならメイズの遊び相手でも務めてくれ。」
「友達なんだから、一緒に遊ぶけどよ…。」
魔王の言葉にはメイズを慈しむ心が現れており、エンジはなんだか居心地が悪くなった。
今メイズやエンジが乗っている馬車は、魔王専用の巨大な物だった。なにせ広めの部屋一つに車輪を付けて、一角馬に牽かせていたのだ。
メイズは反対側の窓に張り付いて、外を見ている。後ろ姿だが、瞳がキラキラ輝いている事は見ずとも判った。
そのメイズがエンジに近づいてきた。
「エンジっ!見えてきた。見えてきたよ。」
「あ~、はいはい。今行くよ。」
手招きするメイズに誘われて、遠くから見るだけの何が楽しいのだか、と思いながら窓を覗き込む。
モウモウと煙を吹き出し、頂上部が赤く光る火山があった。
『うおっ、すげぇ。』『でしょ。』反対側から聞こえる子供達の声を聴き、魔王は微笑んでいた。
メイズやエンジはまだ知らない。
この旅行でメイズの魔力操作が一段と上がるのを。
それは騒動の前振りだった。
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