33 魔王の友達、笑顔の報酬。
最後の三話目が少し遅れるかもしれません。
「…ぐっ、俺はどうなった?」
確か最後に見たのは真っ青な青空だったはず。
数日前に襲いかかってきた一団と同じマークを付けた馬車を襲ったはずなのだ。
そこで、大人ではなく、小さな幼子に返り討ちにあったのだ。自身すら犠牲になる可能性のある技を使おうとして、そして空に投げられた。
「…起きた?…よかったぁ。」
視界にその幼子の顔が正反対にドアップで映りこんだ。
「…なにやってんだ、お前。」
メイズは右手に枝を。左手に石を二つ持っていたのだ。
「炎の精霊は火が消えると死んじゃうと聞いて…。」
薪をくべようとしたと正直に話す。
確かに炎の精霊は、火が消えると死ぬ。と言うか灰になってサラサラと意思がなくなるのだ。
ただし、精霊は魔力で出来ていると言ってもいい。
魔力の火なのだ。薪をくべてもどうにもならない。しかし、馬鹿正直にそんなことをしようとしたメイズに、思わず笑いが込み上げてきた。
「ぶ、くっくっ、ブワハハハハハハハハハハ…。」
「なんで、笑うのっ!」
「あはははははははははははははは…。」
腕を振り回し、本気で慌てるメイズに更に笑いが込み上げてきたのだった。
「それで、なんの用だったんだ。」
冷静になって目の前の小さな存在を観察する。
魔力が自身よりも遥かに大きい事が判る。苛ついていたとはいえ、よく目の前の存在を倒そうと思ったな自分と、エンジは自分に恐怖を感じていた。
部下になれ。それとも奴隷兵か。と戦々恐々していたエンジに掛けられた言葉は一つ。
「僕と友達になって。」
なんとも気の抜けるものだった。
そして気付く、ここは馬車の中であると。
「おいおい、このまま俺をお前の所に連れて行くつもりか?」
エンジはメイズを試すようにそういうが、メイズは顔いっぱいに?を浮かべていた。
あっ、こいつ嘘つけない奴だ。エンジはそんなメイズの様子に馬鹿らしくなった。
「はぁ、いいぜ。村八分にされている俺なんかでいいのなら。」
「うん。いいよ。僕たちは友達だ。」
こんなのもいいな。メイズの輝くような笑顔と宣言に、今までの事が報われた気がするエンジであった。
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