31 魔王のお友達、炎の精霊の集落。
本日最後の更新です。明日の最初の更新は12時になりそうです。
「ねぇ、ラン、お友達って何処に居るの?」
メイズは、ランに向かって、絵本を見せた。近頃のメイズのお気に入りの本である
元々、メイズが読んでいたのは、動植物の図鑑で、メイズが魔法の制御を学ぶにあたって、ランが簡単な魔法書と一緒に絵本を幾つか送ったのだ。
その中の一冊だった。
心優しい魔王が勇者とお友達になって世界を救うという、魔族の国には新しい風潮のものである。
「あらあら、それでは一緒に探しに行きますか?」
「うん!」
ランの問いかけに、元気一杯頷いたのだった。
馬車の中、メイズとランは、魔王城より南へと進路を取っていた。北は背の高い山脈に囲まれ、東は人間の住まう土地。西は魔族の住まう土地故に、メイズが何の予告もなく現れると、大騒動に発展する恐れがあった。
そこで、湖より南の精霊達が住まう地方を目指すことにしたのだ。
何よりも、もし契約精霊が見つかれば、メイズの属性魔法もグッと威力が高まる。その上、魔力操作の技術も上がるはずだ。
「お友達、お友達。見つかるといいな~。」
「くすくす、そうですね。」
メイズはランの膝の上にチョコンと乗って、楽しそうに歌いながら、ニコニコ笑顔だ。
ランも、そんなメイズの様子にクスクス笑いながら同意する。
「もうすぐ、炎の精霊の集落です。」
外の護衛から、そう告げられる。
メイズは呑気に、眼を輝かせ、ニコニコしているが、此処で一生の殆どを一緒に行動する配下、メイズ曰く『お友達』に会う事になるとは、思いもしなかった。
気に入らねえ。大人が数十人、そこそこできる奴らだったが、俺がたった一人で追い返しちまったからって、村の連中俺を遠巻きに見ている。その目には恐怖が浮かんでやがる。
俺が何時この力をてめえらに向けたよ。たく、気に入らねえ。
餓鬼の頃から、俺は周りより強かった。それこそ狩人の大人連中すら、まともな相手にならないほどだ。だから、何時もこんな目に晒されてきた。こういうのは慣れっこのはずだ。
それでも、俺の機嫌は直らなかった。
そんな時、俺を襲った奴らと同じ家紋の馬車が来ればどうなるかは言わなくても判るだろ。
俺は、その馬車の進路上に立って、魔力を高めていた。
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