25 決着、魔王城に増えた従業員。
本日最後の投稿です。明日から第三章に移ります。
「ぬぉおおおおおおおおお、しまったぁっ、!!」
完全復活を果たした魔王(雑魚)はピンチに陥っていた。余りに危険な魔法の鏡だった為、玉座の裏に隠していたのを忘れていたのだ。背凭れが倒れた時に一緒に倒れていた。
魔王(雑魚)が、壊された壁に足を掛けて、無駄に叫んでいた時、強風が偶々吹いた。その風により鏡がひっくり返り、鏡が魔王(雑魚)の姿を映しだした。姿を映した鏡は映した存在を吸い込み始める。
「うぐぐぐっ、げっ、どぉわぁあああああああああ!!」
何とか壊された壁を掴み、耐えていた魔王(雑魚)。しかし、風化が酷かった壁は脆く、ぼろっと指を掛けていた壁の一部が取れた。
当然、鏡の吸い込む力に抗う事も出来ずにキュポンと間の抜けた音を立て、完全に吸い込まれた。瞬間、鏡から光が漏れ出し、四つの影を生み出した。この鏡はあの魔法の手鏡の効果を限定し強力にしたものだった。生き物を吸い込み、その生き物の吸い込む間際の強力な心情を分けて、新たに生み出すのだった。
「うん?やけに時間が掛かるな。」
「まさか、メイズ君……。」
ランは騎士達の治療を終わらせた後、エンジ達と合流していた。ジャナサンとウオイスはさすがに小さな傷はあるものの、無事でありエンジの焼いた肉を頬張っていた。
先程まで、緊張の連続の中にあり、目の前の事しか頭になかった。しかし、腹も膨れて暇に成れば現状を認識しだす。いま、此処に居ないメイズの事がきになった。
「くすくす、それはないわね。」
「おいおい、俺より強いんだぞ。油断しきってたって一方的に勝つさ。」
二人の勇者の心配を、魔王配下二人は笑い飛ばす。
ガサガサと側の茂みが揺れた。
ピョコンとシャランが顔を出す。
「おっ、シャラン。今まで何をしてたんだ?」
「ふむ、逃げ出したのでな。着替えさせるのに手間取った。」
「はい?着替えさす?」
茂みからシャランが出てくる。左側に金髪で血の様な真赤な瞳の美少女を。右側に銀髪の美少女メイドを俵田きにして。二人はぐったりしていた。
「……誰だ?」
「うん?ああ、メイズだ。」
「いや、それは判るんだけど。もう一人の方だよ。」
メイズの格好はあの女装コンテストの格好だった為、すぐに判ったが、もう一人の方が判らない。見た目だけでも、シャランが誘拐してきたという方が似合っていた。
「ふむ、似合うと思ったから連れてきた。」
「まじでぇっ!?」
誘拐に見えると言ったが、誘拐であった。
「…まじで、誰だよ。」
ジャナサンの疑問に、シャランは胸を張って告げた。
「魔王の一人だ。」
「いらっしゃいませ。ようこそ、安らぎと安眠をお届けする宿屋《魔王城》へ。」
宿屋《魔王城》に従業員が一人増えたのだった。
今日もカラッと晴れた青空に、真っ白な雲が形を変えていく。雨が降る日もあれば、曇りの日もある。だけどメイズは晴れの日が好きだった。洗い終わったベットのシーツを干しながら空を見上げる。階下からは、エンジやラン、新しく加わったアクレツの声が響いていた。今日も平和だった。
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