24 魔王メイド隊は勘弁して。
今日で第二章は終わる予定です。そういえば第二章は外伝を書かなかったなぁ。と思いながら、シャランとウオイスとジャナサンが、森に調査に行った時のことを、外伝で書こうと思います。…何時かね。
アクレツは恐怖に怯えていた。自分は少なくとも魔王と呼ばれる存在の筈だ。そう思い込み心を奮い立たせようとするも、目の前の存在に飲み込まれていた。経験などしたことなどない魔力の塊が自分を包み込む。いや、違う。ただ、漏れ出しているだけなんだ。目の前の化け物から、溢れ出した余剰分が。
「……おまえ、何?」
「僕は魔王。」
怯えるアクレツの質問に、メイズは簡潔にそれだけを答えた。
メイズは怒っていた。心がざわめき、今まで経験した事がないイライラがメイズの中を渦巻いていた。
(なんでだろう。)
自問自答するも、答えは出ない。シャランが寝たきりになった時も、心がざわめいた。ついさっきのシャランを確実に殺す攻撃が放たれた時も、ただシャランを攻撃したものが許せなかった。まるで本当に残虐な魔王になってしまったかのようだった。
(ああ、そうか。僕はシャランさんと一緒にいたいのか。)
冷静に、冷静に。それだけを心がけて、思考を再開させる。単純な理由がみつかった。恋愛とか、好きだからとかではなく、一緒に居て楽しいのだ。シャランの無茶を諌めるのも、オフザケにツッコむのも、無茶ブリから逃げるのも、何処か笑っていた気がした。
だから、シャランと一緒に居られなくするモノに心底怒ったのだ。
「……俺、死ぬのか。」
「…死なないよ。完全消滅させるから。」
腰を抜かして、木の根元にいるアクレツに一歩、また一歩と近づいていくメイズ。
「すまん、メイズ。それは少し待ってもらえないか。」
だが、シャランがそれに待ったを掛けた。
「シャランさん?」
「うむ、少しやりたいことがあってな。」
訝しげに待ったを掛けたシャランにメイズは、ただ名前を呼ぶ。しかしシャランはやりたいことがあると、メイズに告げた。メイズは、確かに殺されかけたのはシャランだ。報復の一つでもしたいのだろうと、道を開けた。自分が居れば、万が一どころか無限大数が一も起こらない。そんな自信もあった。
シャランがアクレツとメイズの前に立つ。
「…、ふむ。」
「……何がしたい。殺したいのか。」
自暴自棄になったアクレツはそう問うた。しかし、シャランは何か背負い袋の中をゴソゴソとあさっている。
「うん、おっ、これだ。これを着てくれ。」
目的の物が見つかったのだろう。そういってアクレツの前に差し出したのは、白銀の糸が大量に生えたヘルムと、フリフリの白と黒の布だった。
「なんで、メイド服とカツラが出てくるんですかっ!!」
思わずズッコケたメイズと、頭が地面にめり込んだアクレツ。何気にこの中では胆力は一番のシャランであった。
「うむ、似合うと思ったからだ。」
「答えになってませんっ!!」
胸をはって的外れなことを言うシャランに、どうしてもツッコんでしまうメイズ。またシャランは、フムと首を掲げる。ポンと手と手を鳴らし、また背負い袋に手をやると今度はすぐに取り出した。
「メイズの分もちゃんとあるぞ!」
「なんで、あるのぉ!?」
さぁ、着るのだと、ズイズイ迫ってくるシャランに、メイズとアクレツは仲良く逃げるのだった。
何時の間にか、空は完全に澄み渡り、青空に白い雲が流れていた
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