21 援軍到着、魔王とその配下。
「なっ、なにっ!?」
「…意外な援軍だな。」
「メイズは居ちゃいけないでしょっ!!」
町人という戦力には普通数えない者達の援軍によって、折角用意した影の魔物軍団が壊滅させられるのを見ていたジャガンは驚き、実力はあるのを知っていたジャナサンは思わず顔を抑え、ウオイスが援軍に魔王が混じっている事にツッコんでいた。
数分程度で、騎士団の背後を襲おうとしていた魔物達は、泣き喚き鼻水が垂れるのも構わず逃げ惑っていた。
「…ぐっ、なんていう力だ。」
「おいおい、俺達じゃぁ、これが精一杯だぞ。」
一部の騎士達もまた壊滅しかかっていた。
ウラミー、ツラミーと名乗った同じ顔の魔王達の所だ。
「さて、やっと終わりだね、ウラミー。」
「うん、やっともっと面白い所に行けるね、ツラミー。」
二人が声を合わせて、『それじゃぁ、バイバイ。』と、まるで子供が玩具を捨てるように、騎士達に腕を振るった。
「あらあら、だめよ。オイタしちゃ。君達の様な子供には早すぎるわ。」
が、その腕を掴む妖艶なウエイトレスがいた。
「ちっ、面白い事の途中だったのに。」
ジャガンの攻撃は苛烈を極めていた。折角の面白くなりそうな事を邪魔されて怒っているのだ。動揺したのは人々のはチャンスが生まれた喜ばしい事なのかもしれないが、攻撃にさらされているジャナサンとウオイスは堪ったものじゃない。何とか受け流すのに必死だ。
しかし、体力の低下だけは避けられなかった。普段ならなんともない小さな段差に足を取られて二人とも転んでしまったのだ。
「なんだ、それだけか。」
ジャガンは本当に興味を無くしたような目で見下ろしながら腕を振るった。
「…ぐはっ、ってアッツうぅ!!」
振るいきれなかった。何処からか飛んできた鋼鉄の腕がジャガンの顔に命中し、ジャガンを吹き飛ばしたからだ。しかも、どうやらその腕は熱せられていたらしく、熱さに転げまわるジャガン。腕だと思っていたのは鋼鉄の小手であった。片一方の小手がない鋼鉄の鎧を着込んだ文字通り燃えている炎の料理人がいた。
「…ぐっ。」
「……お前脆い。もういい。」
アクレツはシャランを追い詰めていた。シャランは卓越した技術と長年の経験から、アクレツの怪力を防ぎきっていた。彼女の持つのは自身の身長と同じ長さの大剣だ。その重さの為、受け流す、避けると言う事ができなかった。アクレツの高い自力に押され、遂に大剣が半分に折れてしまったのだ。
アクレツは飽きてしまったのだろう、身体強化にまわしていた魔力で砲撃魔法をシャラン目掛けて打つ。それは、余りに巨大で例え身軽でも、避けることはできなかっただろう。その威力に気付いたシャランは諦めていた。時間稼ぎは十分にしたと言えるかは判らない。しかし自分の持てる力は出し切ったと言える。心残りは、もう一度メイズに…。
瞬間、砲撃魔法の魔力が何かに切られた。その威力は高く、斬撃の通った後は、大地に刻まれ、木々は切り裂かれ、山は真っ二つに、そして雲をも切り裂いていた。久しぶりに陽光が降り注ぐ。
「大丈夫ですかシャランさん。」
会いたかった魔王の声がした。
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