17 ゴブリンが町中を走れば、希望の音がする。
コメディ色が無いのが辛い。でも、これから数話はまじめな話になります。どうかお付き合いください。
『ゴブリン』一般的には醜悪な顔で子供位の身長であり、武具を装備して襲ってくる。その武具は亡くなった冒険者の物が多く、欠けていたり折れていたりする場合が多い。多産で、同族同士だと1ヶ月に一人、他の種族とでは3ヶ月に一人のペースで生まれる。集落を形成して数百人規模の軍隊を指揮する能力を持つ。強さは大した事はないが、複数での連携攻撃を得意とする。冒険者の新米が先輩に教えてもらう最初の格言が『ボブゴブリンならブチコロセ。ゴブリン三匹なら逃げろ。』であることが、ゴブリン達の厄介さを物語っている。ちなみにボブゴブリンは精々が棍棒を持った一般人であり、力でもってリーダーの座に収まったゴブリンが進化した魔物であり、その為か戦の時は、数十のゴブリンを率いているが、それ以外は単独行動が基本であった。西側の魔の森に多く出現するため、此の辺りの人間には当たり前の存在でもあった。
そんなゴブリンが三匹、町を走っていた。身形は小奇麗に麻の布で作られた衣服を身に纏い、首から看板を下げて、東の大通りから中央広場は一直線に突っ切り、西の大道りへ。その最西に位置する大きな建物に入っていった。
「…あん?なんで街中にゴブリンがいんだ?」
ゴブリンの存在に気付いた冒険者の一人がそんな疑問と共に、武器を抜いた。
「…いいんだよ、そいつらは。看板下げてるだろ。」
もう一人が正体を知っているようで、武器を抜いた男に注意していた。
「おや、何か連絡ですか?」
ちょうど通りかかった、細身でメガネを掛けた男がそんな騒動に気付き、足元のゴブリンに気付いてそう問うた。この男は、このギルドの副ギルド長であり、ギルドの書類仕事全般はこの男の仕事であった。
ゴブリンたちは、下げていた看板を裏返し、副ギルド長に見せた。
「……これは、朗報ですね。すぐ城に早馬を出します。」
あなた達もご苦労様でした。そう声を掛け、副ギルド長は奥に入っていった。
ゴブリン達の下げていた看板には、宿屋《魔王城》の名前が入っていた。
「騎士団を派遣すべきだろうっ。」
「馬鹿たれめ、そんなことをすればどれだけ犠牲者が出ると思う!!」
城の会議場は今紛糾していた。ギルド長や、騎士団長を筆頭に、有事の際には軍隊を出さなければいけない高位貴族達が叫ぶ。西の魔の森に現れた四人の魔王に対する手がなかったのだ。一人で有れば、勇者を派遣して終わり。二人でも先代の勇者ジャナサンがいる。しかし、現実にいる魔王は四人。対策が全く打てないでいた。
「国王陛下、こうなれば騎士団を派遣し、魔王達を分断、勇者ウオイス一行と先代の勇者ジャナサンで各個撃破という手しかありませんな。」
「うむ、その手しかないだろうのう。」
大臣が国王に、紛糾する議論の改定案を提案する。
そんな時だった。冒険者ギルドから早馬が到着した。
「シャランは無事だそうだっ。」
国王の言葉に静かに見守っていた者達は歓声をあげる。
少しだが希望がみえてきていた。
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