14 良い報告と悪い報告、心のオアシスとニート。
なろうコン大賞に応募しました。手直しするかもしれません。
活動報告の方にも、会話だけの小ネタを上げました。
「肩の傷が酷いですね。すみません代わってください。」
メイズが呼び出した、魔界名医と呼ばれる魔人と人の構造について、他種族それこそ今を生きる、人々ですら知らない事も識っているランがシャランの傷を見ていた。ランが識っているのは当然だ。ランの種族はリリムと呼ばれるサキュバスの最上位、元々、人の先祖はサキュバスとは腹違いの兄弟に当たる。サキュバスから位を上げていったランだが、サキュバスとしても原初レベルの年長者だ。識っていて当然だった。
倒れたシャランを、近くの清潔な部屋に運び込み、ランと魔界名医だけを残して、メイズは外に出た。自分が居ても何も役に立たないと思ったからだ。ランの分や、まだ終わっていない仕事をしていた方が良いような気もする。気になる事もあるし。メイズは仕事をする為に歩き出した。
「傷の治療は済ませました。」
「ああ、ありがとう。」
「…ただ、問題が一つ。」
ランはベットメイクを終わらせたメイズにシャランの様子を報告していた。いい報告は傷は完治し、命に別状はない状態まで持って行けたこと。悪い報告は、もう体力的にも問題がなく、目を覚ましても好い筈なのに、覚醒の兆候がないことだった。
シャランが宿屋《魔王城》の扉を潜った所で倒れてから、三日が経っている。今はまだ大丈夫だろうが、もし目を覚まさなければ、衰弱死することも考えなければいけなかった。
メイズはメイズで気になる事を調べていた。それは、残りの二組の事。先代勇者ジャナサンと、今代の勇者ウオイス一行の事だった。しかし、そちらは問題がなかった。ジャナサンは王城に、ウオイスは冒険者ギルドに居る事がわかったのだ。シャランがあれだけの傷を負っていたのは、二組を引かせる為に殿を務めたとの事だった。
「…それは、心に傷を負ったからじゃないのかい?」
ランとメイズの話を聞いていた宿屋の女将が言葉を発する。
「心に傷ですか?しかし、殿を言い出したのはシャランさんですよ。」
「裏切られた、とかじゃないよ。どちらかといえば出不精のほうさね。」
あれだけの傷を負いながら殿を務め切ったシャラン。だが殿を務め切ったと言う事は、それだけ痛みが長引いたということ、心が折れかけていたとしてもおかしくはない。本当ならシャランの性格上、ギルドまで報告に行ってから倒れるだろう。それほど頑固な所があるのだ。シャランという女性は。しかし、そのシャランがリラックスできて、オフザケまでできる場所というのがあった。宿屋《魔王城》である。今回も、心が折れかけている所に、心のオアシスが現れたのだ。当然そちらに向かう。宿屋《魔王城》で倒れたのが証拠になっていた。
この三日、曇りのち雨で太陽を見ていない。
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