13 雨の日の憂鬱、倒れる冒険者。
なんとか3話目を早めに上げることができました。
ザーザーと雨が降っている。からっと晴れた青空もいいが、偶にはこんな天気もいいかもしれないとメイズは思う。ただ、三組の依頼の事があるから、素直に感傷に浸ることができない。宿の仕事をこなしながら、何度も窓の外を見ている。無事に帰ってきてほしい。そんな思いだけが頭の中をしめる。これじゃまるで乙女だなと思ったメイズ。そんな時、宿屋《魔王城》の玄関扉が開いた。
視界を埋め尽くす、雨粒を鬱陶しく思いながら、何とか足を進める。この町の名匠が打った唯一どの大陸に出しても恥ずかしくない愛刀を抜き身のまま杖の代わりにして、前へ前へと進む。これじゃ、刀身が曲がってしまうな。下手すれば誰かを傷つけてしまうな。後で鞘を何とかしなければ。そんなどうでもいい事を考えながら、東通りの中央辺りまで来ると、暖かい光が漏れだす扉があった。ここは宿屋《魔王城》。本当の魔王なのに、一切の邪気がない笑顔を振り撒き、寂れていたこの町を町興しで活気のある町にしたり、本当に魔王か?と言いたくなる良い奴がいる場所。その扉を朦朧とする頭、揺れる視界、まともに動かない肉体で潜った。
「いらっしゃいませ。ようこそ、安らぎと安眠をお届けする宿屋《魔王城》へ。」
いつもの常套文句を聞きながら、倒れてしまった。
最後に、自分を呼ぶ魔王の声を聴いた気がした。
「シャランさんっ!!」
扉が開き、誰かが入ってくる音がしたので、いつもの常套文句を口にし、振り返る。二年前とは違い、伸ばし始めた金のサラサラな長髪が宙に舞った。遅れてドサッという何か重さのあるものが倒れる音がする。
扉の前に雨に濡れ、彼方此方凹んだり傷ついたりしている防具をきた、血塗れで倒れるシャランがいた。
王都に何かが起きようとしている。
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