12 復活する魔王、依頼する王、送り出した魔王。
「わっはははは、わぁーはははははは、我、完全復活ぅ」
荘厳な城の最上階、玉座の間に開いた壁に足を掛け、雷鳴轟く、真っ暗な草原に向かって叫ぶ魔王(雑魚)が居たとかなんとか。あれから数時間、女性化玉の効果が切れ、元気を取り戻した魔王(雑魚)。拳を握りしめ、暗黒の空に向かって宣言するように言った。
「今に見ておれよ勇者め。」
赤い絨毯の上で、片膝を立てて俯く。今勇者ウオイスとその一行はブレイブ城の玉座の間の王の前に居た。
「……異変、ですか。」
「うむ、近頃、魔の森の魔物共が強くなっているとの報告を受けてな。Cランカーの冒険者に調査を依頼しておったのだ。」
冒険者には、ランクと言うのが設定されている。このランクは依頼を受け、一定の難易度の物を一定数成功するとあがる。基本的にCランクの冒険者といえばそれなりの実力者であり、唯でさえ閉鎖された大陸の魔物勢は実力は高く無い。当然油断していたとしても、この程度の依頼で有れば、普通は短期間で成し遂げるものだ。ましてや国からの依頼である。手を抜いたりはしない。
「それで、その冒険者は……。」
もし成功させているのであれば、自分達はなんで呼ばれたんだろう。勇者一行は嫌な予感を感じながら、冒険者の安否を聞く。
「……帰ってはきたよ。」
王の言葉は、帰還したという物だ。緊張をとき、小さく息を吐いた。しかし王の言葉にはまだ続きがあった。
「……全員、亡骸となってな。」
最悪な物だった。
「それで、御三方に声が掛かったと。」
メイズの前には勇者ウオイス一行と、先代勇者ジャナサン、そしてこの最初の町の唯一のAランカー冒険者シャランがいた。
「ああ、そういうことだ。」
「いいんですか?国からの依頼なんでしょう。早めに出発しなくて。」
メイズの問いは当然の物だ。だが、この三組は宿屋《魔王城》に集まっていた。
「……形式なものだ。だが聞いておかなくてはならなくてな。」
「……ああ、僕はこの件に関わってませんよ。」
だろな。という言葉は誰の物だったか。入ってきた時にみた、一切の邪気のない笑顔と、今までの信頼が疑うと言う事を一切させなかった。
メイズはこの後、後悔することになる。何故付いて行かなかったのかと。雲が出てきて、雨が降りそうであった。「早く帰ってこないとずぶ濡れになりますよ。」という忠告と、「タオルを用意してお待ちしておりますね。」という御ふざけと信頼の混じった言葉で送り出したのだった。
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