7 勇者の驚愕、魔王と魔王配下。
本日の分は最後です。1日に2~3話で更新していきたいと思います。
一話が短いしね。
今代の勇者、ウオイス=ブレイブ=ウラツコミは宿屋の前で自分に打つかってきた人物に見惚れていた。サラサラの流れるような金髪に、線は細いが、パッチリした深紅の瞳。プルッとした薄くルージュを引いた唇、真っ白なワンピースは彼女の可憐さを引き立てていた。そんな人物が涙目で自分を見上げているのだ。動悸が激しくなり、見惚れるのも仕方がないだろう。勇者は彼女に手を貸して立たせてやり、彼女が跳び出してきた理由の方に目を向けた。
聖剣を抜き、しっかりと筋肉の化け物に向けて啖呵を切った。
「覚悟しろ化け物、彼女を泣かせた罪は重いぞ。」
「もうぅ、失礼しちゃうわ。私が化け物だなんて。こんなにか弱いのに。」
プリプリ怒りながら、クネクネする筋肉の化け物ことフタハは見ているだけで気持ち悪くなってくる。
「…(汗、すいません。てっきり魔王配下の魔物かと思ってしまって。」
細身とはいえ勇者の胴体ぐらいの太さを誇る腕、人の首ぐらいなら捻り切りそうな腕を持ちながら、か弱いと言いクネクネする様子に勇者は思わず冷や汗を掻きながら謝る。その言葉にフタハはまたプリプリ怒り出し、ジョナサンは爆笑していた。メイズというと、まだ落ち込んでいた。ウオイスに彼女、女性と間違われたのが余程ショックだったのだろう。隅で床にのの字を書いていた。
「本当にすみません。まさか今日が新春際で、そのイベントに強制出場するためだといえ…。」
「もう、いいですよ。こんな恰好していた僕も悪いんですし…。」
ウオイスは律儀にメイズに謝ってくる。メイズも初対面なのだし仕方がないと許していた。
確かに、服装は兎も角、金髪のカツラを外したメイズは女性顔とはいえしっかりと男性であった。
「重ね重ね申し訳ない。ところで、この宿屋の主人は何処に居られますか。」
最後にもう一度謝った勇者は、本来の目的を思い出した。魔王(雑魚)が死ぬ間際に言い残した『魔王は最初の町の宿屋に居る。』。それを確かめに来たんだ。
「はい、女将さんですね。女将さーん。お客様がお呼びでーす。」
「あら、ほらほらメイズちゃん、もう行かないと遅れるわよ。」
「あっ、すみません。後お願いしますね。」
メイズが奥に居る女将を呼び、フタハに時間が来たことを告げられる。そして、断りの言葉を入れて、カツラを持って出て行った。
少しして恰幅のいい女性が現れる。
「はいはい、お客様お待たせいたしました。どのようなご用件でしょうか。」
「すみません、自分はウオイスと言います。たぶん、此処の名前から来ていると思うのですが、此処に魔王が居ると聞いてきたので。」
女将さんは確かに人間だったので、この宿屋の名前《魔王城》から、魔王(雑魚)が最後に言った言葉はデマカセではないのか。そんな思いが強くなってきており、そう質問するだけに留まった。しかし……。
「あらぁん、気付かなかったの?」
「えっ?」
フタハの言葉に疑問を返す。
「おいおい、あんだけ近くに居たのにか?」
「あっ、あなたは先代様。って如何言うことですか!?」
笑っていたジャナサンも話に混じる。この時になってジャナサンの存在に気付いたウオイス。
「いや、だってメイズが魔王だから。」
シャランの言葉に動きを止めた勇者。
「なっ、なんだってぇえええええぇぇえええ!?」
勇者の叫びに宿屋《魔王城》が揺れたと言う。
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