禁断のゴミ箱捜索
俺の部屋のテレビからは、なんとも妙なニュースが流れていた。
『続いてのニュースです。最近、屋外での救急車の出動が急増しており、搬送理由の多くが「重度の生理痛による路上での動けなさ」とのことです。専門家は注意を呼びかけて…』
「…なんだよそれ。辛いなら家に居ればいいだろ!なんでわざわざ外に出るんだよ!」
あまりに謎すぎるニュースに思わずツッコミを入れると、部屋にいた二人…リエとマユが気まずそうに目を逸らした。
「「……」」
「あっ、ごめんごめん。今日は二人のコラボ配信だったよな。俺が余計なこと言っちゃって」
気を取り直して二人に声をかけると、彼女たちのスマホ画面のコメント欄がすさまじい速度で流れ始めた。
『…リオン君のせいだからね?』
『みんなリオン君に優しくされたくて…』
『無理して生理の日に外に出てるの!!』
『月に一度のチャンスなんだもん!!!』
『わざと体調不良のフリしたら「ゾンビ」って言われちゃうし!』
「まあいいや。でも、配信場所が俺の部屋で良かったのか?お互いの家でもよかったのに」
「「ここがいいの!!!」」
ハモる二人。
女子二人が男子の部屋に上がり込んでいる時点で相当な異常事態なのだが、二人はどこか切実な顔をしている。
「そ、そっか。じゃあ準備しててね。その間に俺がコメント読んで間を持たすから。あれ?画面が待機画像のままだよ?カメラは…このボタンか。ヤッホー、見える?」
俺がスマホを操作して、待機画面から切り替えた瞬間、配信画面に俺の顔と部屋の背景がドカンと映し出された。
『キタ〜〜〜〜〜っっっ!!!!』
『映った!!見えるよ♡♡♡』
『やほ!!!!!』
『これが神の部屋…!!』
『リオン君!そのままお部屋紹介して!』
「えっ、部屋紹介?うーん、ここがキッチンで…で、ここがお風呂でしょ。ここは寝室だよ。ん?『ゴミ箱の中見せて』?ダメダメ、男のゴミ箱なんて秘密だよ」
苦笑いしながらカメラを向けていたその時、準備を終えたはずの二人が寝室のゴミ箱の前に座り込んでいた。
「リオンの!っていうか、く、この匂い…聞いてた話より、エッチだわっ♡スンスン…はぁ♡妊娠しそう♡」
「バカ!マユのバカ!なに丸まったティッシュの匂い嗅いでウットリしてんだよ!私にも嗅がせなさいよ!!」
「こら!!二人とも何やってんだよ!!!」
俺は慌てて二人の手からゴミ箱を奪い取った。
昨日の搾精から帰ってきて鼻でもかんだティッシュだよな?ピンポイントでアレの匂いじゃないよな?
毎日が『搾精日』だったことを知っている二人にしてみれば探り当てるのは簡単だった。
そして、それは『リオンの遺伝子がダイレクトに染み付いた危険すぎる聖遺物』だったのだ。
『ギャアアアアアアアア!!!!!』
『マユ!リエ!ズルいぞそこ代われ!!』
『男子の部屋のゴミ箱とか国宝だろ!!』
『妊娠しそうは草wwwww』
『ティッシュになりたい人生だった……』
『警察呼ばれるぞリエマユwwwww』
画面の向こうで数万人の女性リスナーたちが血の涙を流して狂乱する中、俺の部屋のコラボ配信は、開始数十秒で早くもカオスな泥沼へと突入していくのだった。
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