禁断のタンス開帳
「はぁんっ♡」
「うぐ♡動けなぃぃ〜♡」
丸まったティッシュの匂いにやられたのか、あるいは俺の部屋の男子の匂いにキャパオーバーを起こしたのか。
リエとマユの二人は、リビングの絨毯の上で揃って脱力し、ピクピクと身体を震わせていた。
「はぁ…二人とも、じゃあ今日の配信は無しってことにするか。あ、リスナーの皆さん、二人の腰が抜けてしまったのでこれで終わりますね。それではチャンネル登録、高評価お願いします」
カメラに向かってペコリと頭を下げ、配信を切ろうとする。
しかし、コメント欄の文字が爆速で暴走し始めた。
『待って待って待って!!!!』
『やだやだやだ切りたくない!!!』
『リオン君がそのまま配信してよ!!』
『まだお部屋紹介の途中だよ!?もっと見たい!!』
「えっ?…そうか、そうだよな。せっかく楽しみにしてたのに、開始数分で終わるのは申し訳ないか…じゃあ、俺の部屋でも行くか」
配信中のスマホを持ち上げ、俺は自分の部屋へと向かった。
『いいの!?!?』
『男子の部屋……!!』
『画面越しなのに動悸がヤバい』
「ここが普段、勉強したり本を読んだりする部屋だな」
『きゃあぁぁぁぁ♡♡♡』
『うしろ!!うしろ映ってる!!』
『わぉ♡ぱ、ぱんつ……っ!!』
『リオン君、トランクス派なのね♡』
「おっと、ごめん。干したままだったな。男のパンツなんて、見たくないよな?」
画面越しに『見たい!!!』というコメントが怒涛の勢いで押し寄せる。
「…えっ、見たいの?物好きだなぁ。なら、ちょっと待ってて…」
俺はスマホを三脚に固定すると、部屋のタンスへと向かった。
『なに探してんの!?』
『正座して待つよ!!』
『タンス開けた……!!』
「えっと、これはさっき映った普通のトランクスだけど、ボクサーパンツもブリーフもあるんだよね。…で、あとはこれ。皆知ってるかな?女子の為とか言われて男子が強制的に買わされるヤツなんだけど、ほとんどヒモなんだよな」
タンスの奥から引っ張り出したそれを、カメラの前に広げて見せる。
『ぐはっっっ……!!(吐血)』
『あ……あぁ……っ♡』
『ひ、ひもパン……っ!!!!』
『♡♡♡♡♡♡♡♡』
『Tバック♡』
『えっろ!?えっっっろ!!!』
「なんかサイドが紐なんだよね。前だって隠す気がないというか…この世界の男子用の下着、構造がおかしくないか?」
首をかしげながら、紐パンをひらひらと揺らす俺。
当の俺は、この世界の男子の衣類、露出度高すぎだろ!と純粋に困惑しているだけなのだが。
リスナーの女子たちにとっては、『リオンが普段履いている紐パン』という究極の聖遺物を拝まされた形となり、画面の向こうで数万人の女子が同時に尊死を遂げていた。




