カフェの修羅場と衝撃の賢者タイム宣言
「ちょっと、リオンっ!!!」
カフェのテラス席でマユに「あ〜ん」をしている最中、肩を大きく上下させたリエが怒鳴り込んできた。
「あれ?リエちゃん!ちょうど会いたいと思ってたんだ」
「えっ……会いたいっ♡」
『チョロすぎるwww』
『怒鳴り込みの威厳どこ行ったwww』
『おい修羅場はどうした修羅場は!!』
ひと目見つめられただけで毒気を抜かれるリエ。
だが、隣で勝ち誇った顔をしているマユの視線に気づき、ハッと我に返った。
「そ、そうだったわ!勝負よマユ!リオンをどっちの配信のレギュラーにするか、同接(同時接続者数)で勝負しなさいよ!」
「おぉ〜、配信者っぽい対決だな!パチパチ」
俺は他人事のように手を叩いて感心する。
『リオン君……www』
『完全に部外者面してるの草』
『パチパチじゃねぇのよwww』
「こういうコラボって、本当は普段から仲が良くて、プロレスみたいな企画としてやってるんだろ?二人は仲良し?」
「ちがうわよ!!ガチよガチ!!…はぁ、で、リオンはどっちの配信に出たいのよ!?」
詰め寄るリエと、すかさず俺の腕に抱きついてアピールするマユ。
二人の熱視線を浴びながら、俺はカフェオレを一口飲んでそっけなく答えた。
「別に……」
『wwwww』
『「別に……」www』
『令和に沢尻エ○カみたいな態度取る男子おらんのよwww』
「な、なんでよっ!?」
「なんでって…だって俺、今…『賢者タイム』だからな」
「ぶはっ♡!?」
「賢者……っ!?」
唐突なパワーワードに、リエとマユが同時に吹き出す。
『ぶはっ♡』
『け、け、賢者タイム〜〜っ♡♡♡』
『男子の口から「賢者タイム」って直接聞いたんだけど!?!?』
『直前で出してきたばかりの男子の気怠げな「別に…」尊すぎる!♡』
二人が真っ赤になって固まっていると、リエがすがりつくように俺の顔を覗き込んできた。
「た、確かに今出してきたばかりなら賢者タイムかもしれないけど…さっき私に『会いたかった』って言ったのは本当よね!?」
「ああ。今日の搾精の時…その、昨日のリエちゃんの寝顔を思い出してシたからな。なんか会いたくなったんだ」
「はわわわわわっっっ♡♡♡♡♡」
「っっっっ!??!?!?」
今度こそ、リエの頭から「シューーッ!」と音が聞こえそうなほど熱気が噴き出し、マユは落雷を受けたような顔で絶句した。
当の俺は、男として無防備な寝顔で自家発電しちゃってという罪悪感から言っただけなのだが。
女子たちの脳内フィルターを通すと、完全に『君をオカズにして出してきたよ』という極上の愛の囁きへと変換されていた。
『はわわわわわ♡♡♡』
『あわわわわ♡♡♡』
『特大の爆弾発言きたああああ!!!!』
『「君の顔を思い出してシた」は実質プロポーズだろ!!!!』
『マユ完全敗北で草』
『リエリエ失神5秒前wwwww』
大荒れどころかサーバーが落ちかけそうなコメント欄をバックに、真っ赤な顔で胸を押さえる二人の美少女配信者。
~俺のただの正直な独白は、カフェの修羅場を一瞬でヒロイン完全陥落の現場へと変えてしまった~




