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音声だけのASMRポンポン配信

放課後。俺の自宅、俺の部屋。


「う、うわぁ…ここが、リオンの部屋…」


部屋に入った瞬間、リエは立ち尽くし、真っ赤な顔でクンクンと鼻を鳴らしていた。


男子の部屋特有の柔らかい匂いに、完全にキャパオーバーを起こしている。



「あ、配信準備できた?じゃあ始めようか」


「う、うん!配信スタートしたよ!」


そう言ってリエがスマホをオンにしたのだが…画面はゲーム画面でも部屋の映像でもなく、可愛らしい『配信待機中』の静止画イラストのままだった。


『始まった!』

『えっ!?待ってなんで静止画!?』

『映像は!?リオン様の部屋は!?!?』

『見たい見たい見たい見たい!!!』

『カメラ切り替え忘れてるぞリエ!!』

『いや、これわざとだろ!リエのやつ、自分だけリオン君の部屋を独り占めする気だ!!』

『狡猾すぎる!!映像映せーーー!!!』


コメント欄が『映せ!』と大荒れする中、音声だけが流れていく。


「よし、ホラーゲーム配信スタートだな。俺はもうクリア済みだからアドバイス担当な!リエちゃんが怖がるのを視聴者は楽しみにしてるぞ?」


「こ、怖くなんて、ないし!私を誰だと思ってんの?」


「ふふっ、強がってられるのも今のうちだよ」



『……待って』

『何、この至近距離の会話』

『距離感近くない!?』

『イチャイチャすんな!!(血涙)』

『映像がない分、声の破壊力がヤバい』


ゲームが始まり、不気味な洋館を進む画面(※リスナーには見えていない)。


「あ、そこのドア開けるんだよ」


「えっ、ここ?ひっ!きゃあぁぁぁっ!?」


画面内でモンスターが突如飛び出し、悲鳴を上げるリエ。


ドタバタという衣擦れの音と一緒に、俺の身体に重みがかかる。


「あはは、怖かった?怖かったよね?だって今、俺に抱き付いたもんね?」


「う、うぅっ!だって、急に出るから…」


『おい!!!!!!』

『いま抱きついたって言った!?!?』

『あからさまに抱きつきに行っただろ!!』

『そこモンスター出るの有名だろ!』

『故意犯だ!!わざと驚いたフリして抱きついたぞあの女!!』

『リオン君逃げてーーーー!!』

『絶対胸押し当ててるだろ!!!』

『ホラーゲームじゃなくてリエリエが一番ホラーだよ!!!』


画面越しに大爆発を起こすコメント欄。


音声しか聞こえないからこそ、リスナーの女子たちは今どんな状況になっているのか?を想像して狂乱状態に陥っていた。


当の俺は「よしよし、大丈夫だよ」と無自覚にリエの背中をポンポンと撫でてあげる。


「はぅ♡背中ポンポン…落ち、着く♡」


「この先まだまだ怖くなるからさ、怖くなったらまたポンポンしてあげるよ」


「ひゃい♡」


すっかりメロメロになって喉を鳴らすリエ。


そして、その甘い吐息混じりのやりとりを音声のみで聞かされている配信画面は、もはや地獄絵図(聖域)と化していた。


『リオン様っ♡』

『背中ポンポン!?!?』

『待って、誰かリエの音声だけ消せる技術持ってない!?』

『リオン君が私の背中ポンポンしてくれてるみたいになるんだけど♡』

『尊すぎて無理…好き♡』

『(語彙力を失って無言でスパチャを投げる)』


〜こうして、配信画面をつけ忘れた(と思われる)ホラーゲーム配信は、同時接続者数を更新し続け、女子たちの理性を完全に狂わせていった〜

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