男の部屋に上がる=決死の覚悟!
翌日。
「おはよう、リエちゃん」
「お、おはよう…リオン」
校門の前で待ち伏せ…じゃなくて立ち尽くしていたリエに声をかける。
昨日の体調不良(生理)はもう落ち着いたのか、今日は顔色もよく元気そうだ。
「良かった、体調戻ったんだね?…でも、何か不安な事でもあるの?浮かない顔してるよね?」
浮かない顔で画面を見つめる彼女に尋ねると、セットされたスマホのコメント欄が高速で流れ始めた。
『恋の病なんです!この子!』
『昨日の夜配信で「リオン…好き♡」って泣きそうになりながら呟いてたぞ!』
『なんでもお見通しかよイケメンか??』
「もしかして…配信、伸び悩んでるとか?なら、コラボ配信でもするか?俺はチャンネル持ってないから、ゲスト出演って形になるけど。ゲーム配信とかしてみる?」
俺なりに彼女の『配信者としての悩み』を察して提案してみたのだが、コメント欄の反応は冷ややかなものだった。
『ゲーム配信www』
『女子の配信で一番伸びないやつ……』
『需要ないってwww』
『っていうかリオン様が出てからすでに爆伸びなんだが??』
『それなwww同感www』
当のリエも、困ったように眉を下げている。
「リオン…あのね、ゲーム配信は、その…あんまり…」
「あ、そうなの?今日の放課後、俺の部屋で打ち合わせして、そのま配信しようかと思ってたんだけど…」
「は?あっ、うん♡ゲーム配信、すっごく楽しみ♡」
一瞬で前言撤回したリエ。
さっきまでの迷いはどこへやら、頬をポッと赤く染めて、ウキウキした様子で頷いている。
当然、コメント欄は手のひら返しどころではない大爆破を起こしていた。
『あっ(察し)』
『配信とかどうでもよくなってて草』
『ただ単に男の部屋に行きたいだけだろこれwww』
『ゲーム配信に全く興味なかったくせにwww』
『手の平クルックルでワロタwww』
『待って!!??リオン君の部屋が見れるの!?!?』
『ヤバいって!!男の部屋とか人生で初めて入るんだけど(画面越しに)♡』
『お前が入るわけじゃないだろwww』
『特定班!!放課後リオン君の家まで追跡しろ!!!』
『通報しました』
女子からすれば、放課後に男子の部屋に誘われる!なんて、一生に一度あるかないかの奇跡的な大イベントだ。
画面の向こうの女子たちが『実質同棲』『リオン貞操の危機』と大騒ぎしていることなど露知らず、俺は「じゃあ放課後ね」と笑って教室へ向かった。




